確定申告しない方が良かった?申告分離課税を選択すれば良かった?

 逆にこんなケースもあるかもしれません。2018年分の確定申告で配当金を総合課税で申告したが、よくよく計算してみると確定申告しない(申告不要)という選択肢の方が有利だった、というケースです。

 しかし残念ながら、一度確定申告をした配当金を、後になって「やっぱり申告不要を選択します」とすることはできません。

 また「2018年分の確定申告で配当金を総合課税で申告したが、実際は申告分離課税を選択した方が有利だった」というケースも同様、今から内容を修正することはできないのです。

 確定申告書を提出するときに、配当金について3つの選択肢のうちどれを選ぶかは、私たちが自らの意思で決めています。その選択自体は法的になにも誤ってはいません。
 法的な誤りがなければ、税法では後から申告書を修正することはできないことになっています。

 つまり「税法は納税者に3つの選択肢を与えているのに、わざわざあなたが自分の意思で不利な選択肢を選んだのだから、それを救済する必要はない」というのが税法的な考え方です。厳しいようですが、これが法律です。
 確定申告の後に後悔しないためにも、配当金などを考慮し判断を行ってください。

番外編・総合課税と申告分離課税を併用してしまったらどうなる?

 前回のコラムにて、配当金を確定申告する際、総合課税と申告分離課税の併用はできないとお伝えしました。

 実際、国税庁の確定申告書作成コーナーでも、総合課税と申告分離課税のどちらかを選ぶ形になっていて、「総合課税と申告分離課税の併用はできない」と注意書きがあります。

 でも、手書きでの申告書を作成や、他のシステムで作成した確定申告書を提出する場合、誤って総合課税と申告分離課税を併用してしまう可能性があります。そのような場合はどうなるのでしょうか?

 実は、2018年12月6日の東京地裁の判決にて、「総合課税と申告分離課税を併用した場合は、全て総合課税になる」とされています。

 したがって、申告分離課税の適用で株式の売却損と配当金の損益通算をしようとしていたにもかかわらず、誤って配当金の一部を申告分離課税ではなく総合課税で確定申告すると、逆に税金を余計に支払わなければならなくなる可能性があります。
 特に手書きの場合は十分に注意した方がよいですね。

 配当金の確定申告についても、全ては税法という法律で決められたもの。法律を知らなかったから……では通りません。
 正しい知識を身に付けて、ご自身にとって最も有利な選択肢を選ぶようにしてくださいね。