今週の見通し

 先述のとおり、先週は多くの銘柄で上昇がみられました。背景には新型肺炎に対する懸念の一時後退が挙げられますが、なぜ一時後退となったのでしょうか。

 上海市場の春節明けの前日(2月2日)、中国政府が新型肺炎拡大によるマイナスの影響を軽減するため、金融市場に1兆2,000億元を供給すると発表しました。確かに春節明けは急落しましたが、この策を受けて上海総合指数は反発に転じ、そのまま先週の取引を終えました。

 また、金融市場への資金供給のほか、週中に出された、米中貿易戦争における“第一弾の合意”を履行する、という中国政府の声明もマーケットはプラス要因として受け止めたと考えられます。

 一方で、感染範囲は日に日に拡大し、感染者・死亡者は増加し続けています。また、米中貿易戦争の第一弾の合意についても中国国内の経済情勢が悪化している中で履行できるかは不透明と言わざるを得ません。

 金融市場への資金の注入や政府の貿易戦争を鎮静化させるための声明などの、ある意味、力技(ちからわざ)で何とか各種市場を反発させることができたとしても、実態が回復しない限り反発は短命に終わる可能性があります。

 このため、今まで以上に、経済指標や新型肺炎に関わるデータ、つまり“実態”に注目する必要があります。

 今週は、2月11日(火)・12日(水)にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言、2月14日(金)に米国の1月小売売上高1月鉱工業生産の発表などがあります。

 米中貿易戦争・米大統領選挙など大きなテーマが同時進行している米国の経済指標がどのような内容になるのか、そして新型肺炎に関わるデータに改善がみられるかどうかに注目です。

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