先週1週間の値動きを確認し、今週1週間の値動きを考える参考材料を探しましょう。
上海総合指数、ビットコインが上昇率1位・2位
先週は、上海総合指数[株式]、ビットコイン[暗号資産]が、上昇率1位・2位となりました。ともに5%を超える上昇です。次いで、日経225、ナスダック、S&P500、NYダウといった主要株価指数の上昇が目立ちました。
年初から騰勢を強めているビットコインは週初、103万6,000円近辺でしたが、週中に一時、昨年9月につけた110万円に達し、その後も高値を維持しながら週末を迎えました。
上記の主要株価指数の他、中国の景気動向の影響を受ける傾向がある銅[商品]、“第一弾の合意”を経て中国の輸入拡大が実施されるかに注目が集まる大豆[商品]などの中国に関わりが深い商品の価格も上昇しました。
新型肺炎拡大による世界景気の減速懸念を背景に、幅広い銘柄が下落した先々週に比べれば、全般的には22銘柄中72.7%にあたる16銘柄が上昇するなど、上昇が目立った週だったと言えます。
逆に、世界的な懸念が高まったときに物色される傾向がある金[商品]や金価格に連動する傾向がある銀[商品]は下落しました。また、下落率1位となったポンド[通貨]は、1月31日の英国のEU(欧州連合)離脱以降、情勢が安定しないことなどから、今月に入り下落が続いています。
2月3日(月)~2月7日(金)までの週のジャンル別騰落率
今週の見通し
先述のとおり、先週は多くの銘柄で上昇がみられました。背景には新型肺炎に対する懸念の一時後退が挙げられますが、なぜ一時後退となったのでしょうか。
上海市場の春節明けの前日(2月2日)、中国政府が新型肺炎拡大によるマイナスの影響を軽減するため、金融市場に1兆2,000億元を供給すると発表しました。確かに春節明けは急落しましたが、この策を受けて上海総合指数は反発に転じ、そのまま先週の取引を終えました。
また、金融市場への資金供給のほか、週中に出された、米中貿易戦争における“第一弾の合意”を履行する、という中国政府の声明もマーケットはプラス要因として受け止めたと考えられます。
一方で、感染範囲は日に日に拡大し、感染者・死亡者は増加し続けています。また、米中貿易戦争の第一弾の合意についても中国国内の経済情勢が悪化している中で履行できるかは不透明と言わざるを得ません。
金融市場への資金の注入や政府の貿易戦争を鎮静化させるための声明などの、ある意味、力技(ちからわざ)で何とか各種市場を反発させることができたとしても、実態が回復しない限り反発は短命に終わる可能性があります。
このため、今まで以上に、経済指標や新型肺炎に関わるデータ、つまり“実態”に注目する必要があります。
今週は、2月11日(火)・12日(水)にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言、2月14日(金)に米国の1月小売売上高と1月鉱工業生産の発表などがあります。
米中貿易戦争・米大統領選挙など大きなテーマが同時進行している米国の経済指標がどのような内容になるのか、そして新型肺炎に関わるデータに改善がみられるかどうかに注目です。
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