バリュー・グロースで、バリュエーション二極化

 私は、2020年は債券投資の比率を減らして、日本の大型バリュー(割安)株の投資比率を高めるべきと考えています。特に、予想配当利回りが4~6%に達している大型優良株が有望と考えています。

 なぜならば、今、日本株市場で、極端な二極化が進んでいるからです。AI(人工知能)・フィンテック(金融新技術)・バイオ・自動運転・製造小売・レジャーなど、成長が期待されるセクターのバリュエーション(PER・PBRなど)がきわめて高くなっています。

 一方、「時代の変化に取り残されている」と誤解されて人気のない、製造業・金融・資源関連などの大型優良株には配当利回りで4~6%に達しているものが多数あります。買収価値から割安と判断されるほど、バリュエーションが低くなっている銘柄が多いので、ここに投資チャンスがあると考えています。

代表的大型バリュー(割安)株の株価バリュエーション:2020年2月3日時点

コード 銘柄名 業種 株価 配当
利回り
PER PBR
2914 日本たばこ産業 食品 2,290.5 6.7 11.0 1.6
4188 三菱ケミカルHD 化学 791.7 5.1 8.5 0.8
5108 ブリヂストン タイヤ 3,898.0 4.1 9.9 1.3
8058 三菱商事 商社 2,798.0 4.7 8.0 0.8
8316 三井住友FG 銀行 3,868.0 4.7 7.5 0.5
8591 オリックス その他金融 1,840.0 4.1 7.8 0.8
【単位】株価:円  配当利回り:%  PER:倍  PBR:倍


代表的大型グロース(成長)株の株価バリュエーション:2020年2月3日時点

コード 銘柄名 種別 株価 配当
利回り
PER PBR
4307 野村総合研究所 情報通信 2,546.0 1.3 21.9 5.6
4519 中外製薬 医薬品 11,570.0 1.3 34.9 7.4
4661 オリエンタルランド サービス 14,015.0 0.3 60.4 5.4
4716 日本オラクル 情報通信 9,500.0 1.5 27.4 7.4
6098 リクルートHD 情報通信 4,336.0 0.7 37.1 7.0
9983 ファーストリテイリング 小売 57,600.0 0.9 35.6 5.9
【単位】株価:円  配当利回り:%  PER:倍  PBR:倍
出所:配当利回りは、今期1株当たり年間配当金(会社予想)を2月3日の株価で割って算出。配当金の予想を公表していない中外製薬・日本オラクルはQUICKコンセンサス予想を使用。PERは、2月3日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。純利益の予想を公表していない中外製薬・リクルートHDは日経QUICKコンセンサス予想を使用。今期とは、日本たばこ産業・ブリヂストンは2019年12月期、日本オラクルは2020年5月期、ファーストリテイリングでは2020年8月期、中外製薬は2020年12月期、他は2020年3月期のこと
 上のバリュエーション比較表をご覧いただくと、バリュー(割安)株とグロース(成長)株でいかに大きなバリュエーションの差があるか、ご理解いただけると思います。バリュー株の予想配当利回りが4~6%に達しているとき、グロース株は0.3~1.5%です。バリュー株のPER(株価収益率)は10倍割れが多いのに対し、グロース株のPERは30~40倍が多くなっています。

 さらに、バリュー株のPBR(株価純資産倍率)を見てください。解散価値と言われるPBR1倍を割り込んだ銘柄が多数あります。一方、グロース株のPBRは5~7倍と高水準です。

 同じ日本株でも、グロース株とバリュー株で、これだけ極端にバリュエーションに差があると、もはや「日本株」という1つのアセットクラスに入れて、アロケーション(投資比率)を考えるのは不適切と思います。

 今の日本の大型バリュー株は、独立した1つのアセットクラスとして、投資比率を考えた方が良いと思っています。

 新型肺炎による世界景気悪化リスクが意識される中、今、バリュエーションの高いグロース株を積極的に買う環境は、まだ整っていません。

 それでも、バリュエーションがきわめて割安と言える日本の大型バリュー株には、積極的に投資していくべきと考えています。国内債券への投資をやめて、予想配当利回りが4~6%に達している日本の大型高配当株に積極投資していくべきと考えています。

 

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