リスクが高まった時こそ、日本の高配当株に注目したい

 資産形成をはかるには、「外国株・日本株・外国債券・国内債券の4資産に分散・長期投資すれば良い」がかつての資産運用の常識でした。ところが、その常識が通用しない時代が始まりつつあります。国内債券は、長期金利(10年新発国債利回り)がゼロ近辺に固定されているので、投資する価値がありません。国内債券は、分散投資対象から除外すべきと考えます。

 ところが、日本の投資家に、「リスクが高いときは株への投資比率を下げて、債券への投資比率を上げるべき」という、ステレオタイプの思い込みがあります。金融機関など機関投資家は、新型肺炎などリスクを高める材料が出ると、日本株を売って、国内債券を買おうとします。

 ただし、国内債券には、金利がほとんどありません。そこで、低下する金利収入を補うために、低信用債(ジャンクボンド)を組み入れる動きが、金融機関に広がっています。これは、危険な兆候と見ています。

 低金利に追い詰められ、運用難におちいっている日本の金融機関が、大型の高配当利回り株に投資しないで、リスクの高い低信用債に積極的に資金を振り向けるのは、奇妙な現象と考えています。

 堅実に資産形成を進めるならば、債券投資はあくまでも国債などの流動性が高く、信用力の高いものを中心とすべきです。金利低下によって、投資する価値のある債券が減っているならば、それに合わせて、債券投資の比率は減らすべきです。国内債券はゼロにすべきと考えます。

 それでは、国内債券の代わりに何に投資したら良いでしょうか?  金・プラチナや、REIT(上場不動産投資信託)に加え、日本の大型バリュー(割安)株がその候補になると考えています。今、日本の大型株には、財務内容が良好で収益基盤が堅固で、予想配当利回りが4%超に達している銘柄がたくさんあるからです。