今週の見通し

 先週も、新型肺炎の拡大懸念によって、ジャンルを問わず幅広い銘柄が下落しました。引き続き今週も、新型肺炎の拡大懸念が、多くの銘柄の上値を抑える可能性があります。

 1月30日(木)、新型肺炎の拡大に対し、WHO(世界保健機関)が“緊急事態宣言”を発令しました。日本では、翌31日(金)に新型肺炎による感染症を“指定感染症”とする政令が施行されることが決まり、2月1日(土)より施行されました。

 これらの対応は、世界全体が新型肺炎を強く懸念していること、これ以上の拡大を防ぐことに本腰が入ったことを意味します。

 ただ、すでに中国国外で新型肺炎の感染により死者が出たとの報道もあり、各種マーケットとしては、引き続き、新型肺炎の懸念拡大に警戒する展開が続きそうです。逆に、新型肺炎拡大が本格化した先々週から2週連続で上昇した金[商品]や金価格に連動する傾向がある銀[商品]については、さらに上値を伸ばす可能性があります。

 一方、新型肺炎がアジアを中心に拡大する中、1月31日(土)、欧州では英国がEU(欧州連合)から離脱しました。6月30日(火)までに移行期限の延長の可否の判断が行われますが、延長されず、年末に移行期間が終了した場合、状況によっては“合意なき離脱”となる可能性があります。

 さまざまな不安要素が同時に存在するため、今後もそれらの不安要素がジャンルをまたいだ幅広い銘柄の上値を重くする可能性があり、目先は、不安や懸念といった“思惑”が各種市場の主な変動要因となるとみられます。

 とはいえ、今週は月初にあたるため、米国、中国をはじめとした主要国で1月の景況感を示す統計の発表が相次ぐことから、経済指標(データ)が示す足元の“実態”もまた重視する必要があります。

 中国では、2月3日(月)に1月のPMI(Caixin製造業購買担当者景気指数)が、2月5日(水)に1月のPMI(Caixinサービス部門購買担当者景気指数)が発表されます。新型肺炎に加え、既存の懸念である米中貿易戦争の中国経済への影響を知る手がかりとなります。

 また、2月5日(水)に、米国の1月のADP雇用統計、2月7日(金)に1月の米雇用統計が発表されます。これらは、足元の米中貿易戦争によるマイナス面の影響を知ると同時に、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策を考えるヒントになります。

 今週は、新型肺炎の拡大の状況のほか、中国の1月の景況感を占めるデータ、米国の雇用情勢に関するデータに注目です。

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