先週1週間の値動きを確認し、今週1週間の値動きを考える参考材料を探しましょう。

ビットコイン、上昇率1位

 先週の上昇率1位は、ビットコイン[暗号資産]でした。上昇率は2位の銀[商品]の2.0%を大きく上回る9.4%でした。1月29日(水)に1ビットコインあたり100万円の節目を突破した後、週末まで上昇の勢いが持続しました。

 一方、先週は全体的には、全22銘柄中15銘柄が下落。変動率の平均はマイナス0.6%でした。ビットコイン[暗号資産]金[商品]銀[商品]を除けば、全体的には下落ムードが強かったと言えます。感染が拡大している新型肺炎への懸念が、ジャンルを問わず、多くの市場の重石になったと言えます。

 中でも、株価指数銘柄の下落が目立ちました(当コンテンツで取り上げている銘柄では、ナスダックを除く4銘柄が下落)。春節の延長により先週、上海総合指数は取引が行われなかったため、先週に限り、1月29日(水)に春節明けとなった香港ハンセン指数を参照しました。

 今後も、新型肺炎の猛威が、各種市場に影響を与えそうです。

1月27日(月)~ 1月31日(金)までの週のジャンル別騰落率

※楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
※騰落率は当該週の週足の始値と終値を参照して算出。(終値-始値)/始値
※ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン/円を参照。日本時間の月曜日午前6時と土曜日午前6時を比較
※プラチナはCME(シカゴマーカンタイル取引所)の先物(中心限月)価格を参照。

今週の見通し

 先週も、新型肺炎の拡大懸念によって、ジャンルを問わず幅広い銘柄が下落しました。引き続き今週も、新型肺炎の拡大懸念が、多くの銘柄の上値を抑える可能性があります。

 1月30日(木)、新型肺炎の拡大に対し、WHO(世界保健機関)が“緊急事態宣言”を発令しました。日本では、翌31日(金)に新型肺炎による感染症を“指定感染症”とする政令が施行されることが決まり、2月1日(土)より施行されました。

 これらの対応は、世界全体が新型肺炎を強く懸念していること、これ以上の拡大を防ぐことに本腰が入ったことを意味します。

 ただ、すでに中国国外で新型肺炎の感染により死者が出たとの報道もあり、各種マーケットとしては、引き続き、新型肺炎の懸念拡大に警戒する展開が続きそうです。逆に、新型肺炎拡大が本格化した先々週から2週連続で上昇した金[商品]や金価格に連動する傾向がある銀[商品]については、さらに上値を伸ばす可能性があります。

 一方、新型肺炎がアジアを中心に拡大する中、1月31日(土)、欧州では英国がEU(欧州連合)から離脱しました。6月30日(火)までに移行期限の延長の可否の判断が行われますが、延長されず、年末に移行期間が終了した場合、状況によっては“合意なき離脱”となる可能性があります。

 さまざまな不安要素が同時に存在するため、今後もそれらの不安要素がジャンルをまたいだ幅広い銘柄の上値を重くする可能性があり、目先は、不安や懸念といった“思惑”が各種市場の主な変動要因となるとみられます。

 とはいえ、今週は月初にあたるため、米国、中国をはじめとした主要国で1月の景況感を示す統計の発表が相次ぐことから、経済指標(データ)が示す足元の“実態”もまた重視する必要があります。

 中国では、2月3日(月)に1月のPMI(Caixin製造業購買担当者景気指数)が、2月5日(水)に1月のPMI(Caixinサービス部門購買担当者景気指数)が発表されます。新型肺炎に加え、既存の懸念である米中貿易戦争の中国経済への影響を知る手がかりとなります。

 また、2月5日(水)に、米国の1月のADP雇用統計、2月7日(金)に1月の米雇用統計が発表されます。これらは、足元の米中貿易戦争によるマイナス面の影響を知ると同時に、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策を考えるヒントになります。

 今週は、新型肺炎の拡大の状況のほか、中国の1月の景況感を占めるデータ、米国の雇用情勢に関するデータに注目です。

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