2017年まで順調に拡大してきた訪日外国人数。2018年・2019年に続き2020年も停滞?

 アベノミクスで掲げた成長戦略の中で、もっとも成功しているのが「観光立国」と言われています。2013年から2017年まで毎年、訪日外国人観光客の増加が続き、人口減少・過疎に悩んできた地方の活性化につながってきました。また、インバウンド消費の拡大が、停滞する日本の内需に好影響を及ぼしてきました。

 外国人観光客が、日本旅行で覚えた消費財を、帰国後も継続して使う効果も幅広く見られます。たとえは、日本の化粧品などは、その恩恵で中国での売上が大きく伸びてきました。

<訪日外国人観光客数の推移:2011年1月~2019年12月>

出所:日本政府観光局(JNTO)より楽天証券経済研究所が作成 

 ところが2018年以降、外国人観光客数は伸び悩んでいます。2018年は6月から9月まで、豪雨・地震などの天災が集中した影響から、訪日外国人数が減少。大阪府北部地震、西日本豪雨、大型台風の相次ぐ来襲、関西国際空港閉鎖、北海道地震などが影響しました。ただし、10月以降は回復に転じています。

 2019年前半は訪日外国人数が拡大し、同時期として過去最高を更新しました。日本が観光地として魅力的であること、アジアで海外旅行ができるくらいまで中間層の所得が増加したことから、タイ・フィリピンなど東南アジアからの観光客が大きく伸びました。

 ところが、2019年後半はまた訪日外国人観光客数が減少しました。日韓関係の悪化により、韓国からの観光客数が激減したのが響きました。

<訪日外国人観光客数の上位8カ国:2019年12月>

出所:日本政府観光局(JNTO)より楽天証券経済研究所が作成

 昨年12月の訪日外国人観光客数を国別に見ると、中国での対日感情の改善を映し、中国人観光客が18.5%も伸びています。中国人観光客は、1人当たりのインバウンド消費額が特に大きく、全体のインバウンド消費の伸びに貢献しています。