指針7:欧州ユーロのドルとのシーソー

 人口動態、テクノロジーなど大きな経済トレンドにおいて、欧州は米国に見劣りします。経済が鈍ると、統一通貨ユーロを抱くことへの不満も募りやすくなるでしょう。しかし一方で、欧州は、地味ながらも堅実な経済を保ちさえすれば、世界二大通貨の一方として国際分散投資の中核であり続けるでしょう。

 興味深いチャートをご紹介しましょう。図7でユーロ/ドルと原油価格は連動していますが、これはユーロの原油価格への影響力の大きさを示しているわけではありません。原油価格とユーロがそれぞれドル相場と逆に動きやすいことの表れです。米国経済のサイクルを通して、ユーロにはドルとのシーソーに狙い目があります。

図7:ユーロ/ドルと原油価格

出所:Bloomberg Finance L.P.

指針8:成長テーマに乗る

 円ベース投資では、日本の低い成長軌道と、「リスクオフで株安、円高」という体質から、サイクル投資の重要さが際立ちます。ただし、新テクノロジー、プラットフォーム化、グローバル市場開拓などに係わる企業や、離陸した新興国(図8)などには、サイクル変動など無視して良いほど、加速的な成長軌道を描くものがあります。

 こうした資産は誰もが持ちたいと望みますが、その存在に気がついたときには、既に割に合わないほど高くなっていることが少なくありません。そのため、高成長のテーマ性がある投資対象も、まずマクロ環境の追い風を活かしたサイクル投資として始めることを勧めています。

図8:1人当たりGDPの成長格差

出所:IMF(国際通貨基金)