指針3:膨らむ債務の調整

 低インフレ、低金利の環境で、景気も株価も上昇サイクルが長引いた分、株式投資ポジションと企業債務の増大というサイクル反転のバネが巻き上げられてきました(図3)。今後10年について、このバネが巻き上げられ続けるか、相応の巻き戻し場面があるかを問われれば、後者の可能性が高いと見るのが妥当と判断します。景気悪化、株安の局面に際しては、債務の調整と金融政策等の対処能力が下降サイクルの深さに影響するでしょう。

図3:米企業債務

出所:Bloomberg Finance L.P.

指針4:ブーム資産の見直し

 過去10年は、低インフレ、低金利の環境で、株高、債券高が続きました。さまざまなタイプ、ジャンルで投資ブームが起こっています。しかしサイクル論からは、ブームはそれ自ら反落の芽を大きくするものです。債券(ゼロ~マイナス金利の国債、超低金利のハイイールド債)、世界をアウトパフォームし続けた米国株式、その牽引(けんいん)役だったプラットフォーマー、スタートアップ、パッシブ投資信託など、過剰なロング(買い持ち)ポジションの蓄積や偏在があれば、修正リスクを慎重にチェックする必要があります。もっとも、単に過去10年のようなアウトパフォーマンスは見込みがたいという結論もあるでしょう。米国株式が運用資産の中核とするスタンスも変えようとは思いません。ブームから漏れ落ちている部分、ブームの周縁部分に潜む「お宝」を見つけ出す視線も重要でしょう。