年初から大荒れの日経平均、急落後に急反発

 2020年、年初から、日経平均株価は急落・急騰を繰り返し、大荒れとなりました。年初、米国・イラン間の緊張高まりで急落した後、米国・イランの軍事衝突は避けられる見通しとなったことを受けて、急反発しました。年初の1週間(1月6日~10日)で日経平均は、最終的には昨年(2019年)末よりも194円上昇し、2万3,850円となりました。

日経平均日足:2019年10月1日~2020年1月10日

出所:楽天証券経済研究所

 簡単に1週間の動きを振り返ります。

◆1月6日(月・大発会)日経平均2万3,204円(前年末比▲451円

 1月3日、米政府は、トランプ大統領の指示により、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官をイラク国内で空爆して殺害したと発表。イランは報復を表明。中東情勢緊迫化を嫌気し、3日のNYダウ平均株価が下落。6日の日経平均は、外国人投資家の先物売りなどで大きく下落しました。

◆1月7日(火)日経平均2万3,575円(前日比+370円

米国・イランの対立は深刻化しないと、楽観的な見通しが広がり、反発しました。

◆1月8日(水)日経平均2万3,204円(前日比▲370円

 イランがイラク国内の米軍基地に弾道ミサイルで報復攻撃をしかけたとのニュースが、日本時間の8日午前に伝わると、米国・イラン開戦は避けられなくなると危機感が広がり、日経平均は再び、急落。一時、2万3,000円を割れ、前日比▲624円の2万2,951円まで下落しました。ただし、その後、トランプ大統領の「米軍に死者は1人も出ていない」との発言が伝わると、日経平均は2万3,204円まで戻しました。

◆1月9日(木)日経平均2万3,739円(前日比+535円

 イランの報復攻撃で米軍にほとんど被害がなかったことが判明。トランプ米大統領は「イランに追加制裁を課すが軍事力行使を望まない」と発言。これを受けて、世界的に株が反発し、日経平均も急反発。

 イランが実行した弾道ミサイルによる報復攻撃は、米軍に大きな被害が出ないように、相手に事前通告していた可能性があります。イラン国営テレビは「米軍の死者は80人以上」と宣伝したが、実際には米軍に死者は出ていません。イランは国内世論に配慮して報復を演出せざるを得なかったものの、米軍との開戦は望んでいなかった模様です。

◆1月10日(金)日経平均2万3,850円(前日比+110円

 中東での開戦危機が薄れたことを受けて、日経平均は続伸しました。 米国・イランとも、目先、これ以上緊張を高めることを望んでいないと考えられます。トランプ大統領は、下院で弾劾決議を受けたこと、大統領選を控えていることから、中東で本格的な軍事行動を起こしにくい状態です。 イラン政府も、ウクライナ機を誤認して撃墜したことを認めてから、国内で反政府デモが再び活発化している問題を抱えています。