3 クラレ(3405・東証1部)

▼どんな銘柄?
 繊維事業がスタートですが、現在は高機能樹脂を中心とする化学大手の一角です。

 偏光板用の光学フィルムでは世界シェア約8割、包装材料などに使われるEVOH樹脂では約7割を占めるなど、人工皮革、ビニロン繊維なども含め、世界シェアトップ製品を多く抱えています。

▼ここがポイント
 5G普及などで今後の拡大が予想される高周波用基板材料の需要に対応するため、液晶ポリマーフィルムを用いた銅張積層板「ベクスターFCCL」の量産体制を構築しています。

 5G通信では、電気特性の良い高周波対応のプリント配線板が必須となるので、今後は液晶ポリマーなどが有力な基板材料として注目されているようです。

▼業績見通し
 2019年12月期業績は複数回下方修正され、営業利益は2桁の減益見通しになっています。主力のポバール樹脂が景気減速の影響で低迷していますが、主力製品の生産トラブルの影響なども響いています。

 生産正常化によって2020年12月期業績は回復に転じる公算です。PBR(株価純資産倍率)水準も0.8倍台にまで低下と、だいぶ割安感も強まってきています。

4 AGC(5201・東証1部)

▼どんな銘柄?
 自動車用ガラスで30%程度と世界トップ、液晶用ガラスでは世界2位のシェア、建築用ガラスでもトップ級の実績を持ちます。ガラスの他、塩化ビニルやフッ素樹脂などの化学品、石英素材などの電子部材事業も手掛けています。

 EUVマスクブランクス、医薬品受託製造開発などを戦略事業と位置付けています。2018年7月に旭硝子から社名変更されました。

▼ここがポイント
 NTTドコモ(9437)やエリクソン・ジャパンなどと、自動車などの車室内で安定した電波送受信が可能な「ガラス一体型5Gアンテナ」を開発し、5G通信に世界で初めて成功しています。電波が窓ガラスを通過する際の減衰なども抑えられるもようです。

 透明性が高いアンテナのため視野をさえぎらず、他の車両や建物などへ設置が広がっていく可能性もあります。

▼業績見通し
 2019年12月期業績は2桁の営業減益見通しです。欧州建築用ガラスの需給悪化、液晶用ガラスの売値下落などが響いています。

 一方、2020年12月期は戦略事業の上伸で増益転換が見込めそうです。5G関連部材の動向が今後の株価のカギを握りそうですが、欧州向け構成比も高いことで、ユーロ高円安などもプラスに働きます。

5 古河電工(5801・東証1部)

▼どんな銘柄?
 電線大手3社の一角を占めます。光ファイバ・光ケーブルでは世界トップレベルです。電力ケーブル、ワイヤーハーネスなどの自動車部品、電子部品や銅箔など機能製品にも展開しています。

 アルミ圧延能力で世界3位のUACJ(5741)を関連会社に持ちます。国内光ファイバ業界ではグローバル展開で優位性があります。

▼ここがポイント
 5G普及に伴うインフラ整備で、通信データを伝送する光ファイバ需要の喚起が期待されます。これに対応して同社では生産体制の拡充も行ってきています。

 高効率な放熱部材や大容量HDD、高周波対応銅箔などの機能製品も5G普及による需要拡大が期待できます。さらに、5G普及による自動運転の市場拡大も準ミリ波レーダの活躍余地の広がりにつながります。

▼業績見通し
 2020年3月期業績は下方修正され大幅減益となる見通しです。光ファイバ価格下落や北米での生産性低迷などが響きました。

 ただ、配当金計画据え置きなどは、来年度回復に対する自信とも受け止められます。北米光ケーブルの需要が堅調なこと、データセンター関連需要に回復の兆しが出ていることなどはポジティブな材料といえるでしょう。