1月に注目したい新興株の動き

 1月の新興株市場は、(当月限定で)上げ目線で。過去10年の実績で見ても、1月の新興株は好成績。過去10年の1月月間騰落率平均は、日経平均株価が▲1.6%なのに対して、東証マザーズ指数は+3.8%、日経ジャスダック平均は+2.8%です。新興株が東証1部銘柄をアウトパフォームしやすい理由としては、いくつか挙げられます。

 年明けから3月末にかけ、東証株式市場内では確実に発生する売り圧力の存在があります。それが「持ち合い解消売り」。企業や金融機関が保有している持ち合い株(政策保有株)は縮減することが求められており、期末に向けて粛々と解消が行われます。その点、マザーズ銘柄は持ち合い関係になっていないケースが多いため、この持ち合い解消売り圧力が少ないのが利点です。

 マザーズ銘柄に関していえば、昨年末まで行われた損出し売りが終わることも大きいといえます。節税目的で一度売却した銘柄を、新年以降に改めて買い直す投資家も多いようです。さらには、12月にラッシュとなるIPOがない(2020年の第1号IPOは2月7日)ことも大きいですね。初値買いなどに短期資金が向かうことで流動性が吸い上げられることは、既存のマザーズ銘柄には逆風でしかない…これは前月12月に起きた現象です。

 昨年1月の月間騰落率トップはKudan(月間騰落率+100.7%)、2位がAmidAHD(同+87.1%)、3位がベルトラ(同81.7%)だったのですが、この3銘柄とも前年2018年の12月IPO銘柄です。IPOが空白期間にあるなか、直近IPO株を狙う動きも活発化します。問題は、昨年12月IPOのどれが1月のスターになるかがわからないことですが…(この辺りは日々の動きからどれが人気か見ていくしかない)。

 あとは新興株の鬼門になるのが決算発表。シーズンの2月中旬は注意すべきなのですが、1月も1日だけ警戒日があります。それが「1月14日」。この日はTKP(3479)、UUUM(3990)、マネーフォワード(3994)、Sansan(4443)などマザーズの主力銘柄の決算集中日が控えています。ただ、これも通過してしまえば、決算発表も空白期入り。ファンダメンタルズより株価のモメンタム(それを作るのが個人投資家を中心とした短期資金)の市場において、余計な邪念がない期間は収益機会と考えたいところです(2月は余計な邪念がまた増える)。