個人投資家が成功する方法は、ひたすら長期の投資チャンスを「待つ」ことである

 株式市場はプラスサムの市場であり、資産運用に株式投資は欠かせない。では、“長期の”株式投資で個人投資家が成功するには何をすればよいのだろうか?

 それは、ひたすら長期の投資チャンスを「待つ」ことである。

 1970年に1,000ドルをダウ平均に投じていれば、2019年までに、その1,000ドルは14 万4,570ドルに増えていることになる。1万ドルなら140万ドルになっている。しかし、米国人でそのような投資家はほとんどいない。貧困大国アメリカでは3人に1人が退職時の貯蓄がゼロである。

 多くの投資家は天井付近で株を買って、暴落時に市場から追い出されてしまうのだ。近年の株式市場は人為的なバブルの発生と崩壊の繰り返しである。この循環はリーマンショックで終わるかと思われたが、サブプライム住宅バブルの民間の損は中央銀行に肩代わりされて、FRB(米連邦準備制度理事会)は引き取った債券を売り抜けようと中央銀行バブルを起こし、10年超が経過している。

 近年の株は7年から10年に一度大暴落するという循環を繰り返している。米国株ももう上げの10年目。そう遠くない将来に株式市場の歴史的な暴落局面、すなわち、長期的な買い場が到来するだろう。株は暴落した時に買う長期運用の商品である。

米国人の退職貯蓄パターン

出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

 相場の下げをずっと待っている投資家がウォーレン・バフェットだ。バフェット指標を見れば、どう考えても高すぎるのが、現在の米国株だ。米国の株の時価総額30兆ドルというのは中央銀行バブルというカネ余りとレバレッジが生んだ、アダ花である。資産価格だけが青天井で上がり、実体経済の指標であるGDP(国内総生産)と全く釣り合っていないのが、今の全資産バブルだ。

バフェット指標(GDP÷株の時価総額)現在、史上最高値!

 人間の心理は相場で損をするようにできており(心理学のプロスペクト理論)、実際に損が出るとそれを確定するのが怖くなって、損失を膨らませ続けてしまう。日本の失われた30年ではないが、大暴落に引っかかるとポジションが「塩漬け」になるか、FX(外国為替証拠金取引)や先物取引の場合は証拠金がなくなって、市場から強制退場をくらってしまう。大きな損をすると、投資効率が死んでしまうのだ。重要なのは暴落に巻き込まれないことである。