(1)株式相場は、長期はファンダメンタルズ(企業業績)、短期は需給で動く

 日経平均の動く方向を予測する場合、大きく分けて、2つの方法があります。1つは、ファンダメンタルズ(企業業績)を予想し、ファンダメンタルズが改善する場合は上昇、悪化する場合は売りと判断する方法です。

 もう1つ、別のやり方があります。需給を見て、毎日の動く方向を考えるものです。テクニカル分析とも言われます。「相場の流れに素直についていく」、「相場は相場に聞く」やり方と言えます。私がファンドマネージャーをやっていた時、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、毎日の投資判断に重要な両輪でした。今日は、私が実際にやっていた「きわめて単純な」テクニカル分析について、説明します。

(2)日経平均の13週移動平均線と26週移動平均線を見る

 まず、典型的な例として、2015年1月5日―2016年4月11日の日経平均の週次チャートに、13週移動平均線と26週移動平均線のついているグラフを取り上げます。13・26週移動平均線から、以下の通り、きわめてシンプルに強気・弱気を判断します。

日経平均推移:2015年1月5日―2016年4月11日

(出所:楽天証券経済研究所)

 まず、見方を説明します。とても簡単です。13週移動平均線と26週移動平均線が、両方とも上昇基調にある時は、「強気」と判断します。両方とも下降基調にある時は、「弱気」と判断します。一方が上昇基調なのに、他方が下降基調の時は、「中立(判断不能)」と考えます。

 13・26週移動平均線がともに上向いている時は、投資家は買いの回転が効いていますので、押し目では積極的に買っていきたい意欲を持っている状態と言えます。13週線・26週線ともに下向きの時は、多くの投資家が含み損を抱えていて、戻りがあれば売りたいと考えている状態です。

 今は、まだ両移動平均線ともに下向きなので、この分析では弱気局面が継続していることになります。

 なお、同じ方法で判断すると、東証マザーズ指数は現在「強気」、ジャスダックは「弱気」となります。今、短期トレーディングを行うには、為替や海外経済の影響を受けない、東証マザーズの小型成長株の方がいいという判断になります。

 ただし、東証マザーズ指数は、テクニカル分析で「強気」に変わってから既に20%余り上昇しており、やや過熱感もあります。マザーズは上げるときも下げるときも、派手な値動きになりますので、ここからの投資は、短期売買に徹した方がいいと思います。

 日経平均よりも、ジャスダックの方が先に底打ちするかもしれません。ジャスダックの小型成長株を選別し、ジャスダック市場のテクニカル判断が「中立」「強気」に変わっていく過程で、投資していく考えは有効かもしれません。