バリュー株が一斉に息を吹き返した

 東京株式市場の顕著な変化は、日経平均株価が急反発したことだけでなく、「バリュー株(割安株)」が一斉に息を吹き返してきたことも指摘できます。東京市場ではグロース株やディフェンシブ株一辺倒の物色が続き、バリュー株は割安に放置されてきましたが、ここに変化が表れているのです。

 理由は、世界的なパッシブ運用拡大による広範囲な資金の流入、日銀のETF(上場投資信託)買い入れ継続に伴う需給の改善、さらには(あまり認識されないものの)投資家の投資意欲の向上、遠因として日本の政治の安定もあると思われます。

 目立った現状変更がない中では、この動きがまだ継続すると見るのが初手になるでしょう。2020年は「バリュー株」が初手としてクローズアップされることになりそうです。

 バリュー株は広範囲な業種に存在します。いわゆる重厚長大産業の銘柄もそうですが、建設株、素材株、金融株、不動産株…多くがそれに該当します。そして10万円で投資可能な銘柄が多くあるのです(グロース株には少ない)。つまり「10万円投資家(!)」にとってもっとも縁深いカテゴリーなのです。

 バリュー株に大きな動きが出始めている時、それ以前よりも銘柄選別がやりやすくなります。しかし、もし株価指数がさらに高くなれば、「10万円で買える銘柄」は今よりも減ることになるでしょう。まだ多くの10万円株がある今のうちに、より取り見取りの間に、できるだけ早めに選別をしておきたいところです。

 ここでは参考となる「バリュー10万円株」を挙げます。

(参考)「バリュー株投資」

 何らかの理由で株価が割安に放置されている銘柄(バリュー株)の中から、投資家が企業価値を再評価するに伴い、株価上昇が期待できる銘柄を選別して投資する投資手法のこと。この相対は企業業績の成長率が高い、高い成長が見込まれる銘柄(グロース株)に投資する「成長株投資」。