米中問題が解消の方向に。マーケットは9月から上昇
最大の懸念材料が解消の方向に動き始めました。
米中両政府が「第1段階」の通商合意に至り、米政府は12月15日に予定していた対中追加関税の発動を見送り、引き換えに中国政府は米農産物の購入を拡大していくと発表しています。
加えて両国とも「第2段階」の合意に向けた交渉を直ちに開始すると表明しています。これにより米中対立を発端とする“不確実性”は格段に軽減されることになります。
動きがあれば、(これまでと同様)主にトランプ米大統領のツイートにより知ることになると思われます。
注目すべきは、これらの進展のさらに前、米中通商協議の行方に警戒する声が高まる中で株式市場が一段高に向かったことです。特に「段階的な交渉」が明らかになり始めた9月以降の上昇には目を見張るものがあります。
このマーケットの動きからは「米中貿易摩擦はさらに解消していく」と投資家が見ていることが分かります。マーケットは特定の個人や団体でなく、すべての投資家の考えを反映して動いています。
特に政治に関することは、出来事の直後の動きがどうであったかを今後のよりどころとすることができるでしょう。たった一日の動きだけではおぼつかないものの、数カ月の期間の動きであれば信用できるものと言えそうです。現在の米中両国の姿勢は明らかに株式市場に好感されています。
バリュー株が一斉に息を吹き返した
東京株式市場の顕著な変化は、日経平均株価が急反発したことだけでなく、「バリュー株(割安株)」が一斉に息を吹き返してきたことも指摘できます。東京市場ではグロース株やディフェンシブ株一辺倒の物色が続き、バリュー株は割安に放置されてきましたが、ここに変化が表れているのです。
理由は、世界的なパッシブ運用拡大による広範囲な資金の流入、日銀のETF(上場投資信託)買い入れ継続に伴う需給の改善、さらには(あまり認識されないものの)投資家の投資意欲の向上、遠因として日本の政治の安定もあると思われます。
目立った現状変更がない中では、この動きがまだ継続すると見るのが初手になるでしょう。2020年は「バリュー株」が初手としてクローズアップされることになりそうです。
バリュー株は広範囲な業種に存在します。いわゆる重厚長大産業の銘柄もそうですが、建設株、素材株、金融株、不動産株…多くがそれに該当します。そして10万円で投資可能な銘柄が多くあるのです(グロース株には少ない)。つまり「10万円投資家(!)」にとってもっとも縁深いカテゴリーなのです。
バリュー株に大きな動きが出始めている時、それ以前よりも銘柄選別がやりやすくなります。しかし、もし株価指数がさらに高くなれば、「10万円で買える銘柄」は今よりも減ることになるでしょう。まだ多くの10万円株がある今のうちに、より取り見取りの間に、できるだけ早めに選別をしておきたいところです。
ここでは参考となる「バリュー10万円株」を挙げます。
(参考)「バリュー株投資」
何らかの理由で株価が割安に放置されている銘柄(バリュー株)の中から、投資家が企業価値を再評価するに伴い、株価上昇が期待できる銘柄を選別して投資する投資手法のこと。この相対は企業業績の成長率が高い、高い成長が見込まれる銘柄(グロース株)に投資する「成長株投資」。
今ならより取り見取り!バリュー10万円株
株価データは2019年12月18日終値ベース。
【建設株】
五洋建設(1893)
海上土木が主力の準大手ゼネコン。
・五洋建設の日足チャート
日特建設(1929)
基礎、地盤改良、のり面など特殊土木を得意とします。
・日特建設の日足チャート
【素材株】
三菱ケミカルホールディングス(4188)
総合化学の国内首位企業。
・三菱ケミカルホールディングスの日足チャート
王子ホールディングス(3861)
製紙業の国内首位企業。
・王子ホールディングスの日足チャート
フジクラ(5803)
電線御三家(他2社は古河電気工業、住友電気工業)の一角。
・フジクラの日足チャート
【金融株】
りそなホールディングス(8308)
大和銀行、埼玉銀行、協和銀行などの流れをくむ準メガバンクグループ。
・りそなホールディングスの日足チャート
だいこう証券ビジネス(8692)
証券バックオフィスの大手企業。
・だいこう証券ビジネスの日足チャート
【不動産株】
東急不動産ホールディングス(3289)
東急系の総合不動産大手企業。
・東急不動産ホールディングスの日足チャート
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