利益や損失を来年に先送りできる裏ワザとは?

 人によってはこんな要望もあるかもしれません。

「含み益がある株を売りたいけれど、今売ると実現益がさらに膨らんで税金が増えてしまう…」

 こんな場合は、株を売らずとも売ったことと同じ効果が期待できる方法があります。それは信用取引の「空売り」を用いる方法です。

 持ち株はそのまま保有を続け、持ち株と同じ株を同じ株数空売りするのです。これにより「買い」と「売り」が両建てとなり、結果として売ったのと同じ効果が得られます。

 それでいて、実際には持ち株は売っていないため、利益は含み益のまま実現しないことになります。そのため税金が課されることもありません。

 逆に、こんなリクエストもあるかもしれません。

「含み損のある株を売りたいけれど、これ以上損が膨らむと3年間損失の繰り越しができるといっても3年間で将来の利益と相殺できるか不安だ。一部は来年の損失としたい・・・」

 そんなときも、持ち株はそのままの状態で、同じ株を同じ数量だけ空売りすればよいのです。持ち株自体を売らなければ含み損は実現しませんから、来年以降売却すれば損失の実現を1年遅らせることができます。

 最優先で対応したいのが、2016年から繰り越している損失がまだ残っているケース。含み益のある持ち株があればそれをいったん売却し、利益を実現させて繰り越した損失と相殺すれば、節税につながります。

 特定口座の場合は、2019年の年内最終受渡日である12月26日までに売却をする必要があります。もう時間がありませんので、繰越損失や今年の利益の状況を把握して、必要な節税策を講じるようにしてください。