1.2020年の米国株式市場見通し

 2020年の米国株式市場は、米中の貿易戦争の影響が一巡し企業業績が回復に向かうことにより、上昇を試す展開になると考えられます。ただし、2020年1~3月に関しては投資家の警戒感が高まり、株価は上値の重い展開になるとみています。

 その最も大きな理由は、2020年11月3日に予定されている米大統領選挙です。本選は秋ですが、民主党と共和党の最終候補者が誰になるか見極めるシーズンは、2月、3月にあります。

 2月3日のアイオワ州を皮切りに「党員集会」や「予備選挙」と呼ばれる候補者選びが始まる予定です。特に3月3日のスーパーチューズデーでは、各州の候補者選びが集中する中、国内最大の代議員数を抱えるカリフォルニア州でも予備選挙が行われる見通しです。市場ではこの結果を見極めたいという姿勢が強まるでしょう。

 この大統領選の話題に加えて、米中通商交渉の進展も引き続き警戒対象になります。新たな追加関税が発動されなければ米中貿易戦争の影響は一巡する公算ですが、2020年も一段と関係が悪化すれば米国企業の成長に悪影響を及ぼします。大統領選も含め、先行きに対する不透明感が増すほど、企業は思い切った設備投資の判断が難しくなり、成長のチャンスを逃しかねません。