継続的な上値トライには、前向きな材料が必要

 次の日経平均の上値目標となるのは、昨年の取引時間中の高値(10月2日の2万4,448円)になりますが、直近までのレンジ相場を8月下旬からの中期的な上昇トレンドとして捉えると、「中段もちあい」からの上放れの形になりました。

 そこで、前回のレポートでも紹介した日経平均の値幅予測を計算したものをあらためて確認します(下の図3)。

■(図3)日経平均(日足)の動き(2019年12月13日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 底を打った8月下旬から9月半ばの戻り高値までの値幅と、9月の戻り高値から10月上旬までの押し目までの値幅の2つを使って3つの予測値を算出していますが、今回の上放れによってE計算値の2万4,337円が射程圏内に入るため、昨年高値の株価水準までの上昇は十分にあり得ます。

 その一方で、再び株価が上値を追っていくことによって、安値同士を結んだトレンドラインからはかい離が進むことになります。

 確かに、先週の米中合意成立と英国選挙のイベント通過によって相場の不安が後退し、積極的な売り材料も減ったわけですが、年末にかけて好材料の出尽くし感が強まってくれば意外と株価を伸ばせず、下げやすくなってしまう可能性があります。つまり、「これまで不安の中で登ってきた株価が、安心と歓喜の中でしぼんでいく」という格好です。

 先週は日銀短観も発表されましたが、あまり内容が芳しくなかった他、今週も米中で経済指標の発表が相次ぎます。実体経済の悪化へと相場の視点が向かい、利益確定を含めた売りに押される展開には注意しておく必要がありそうです。

 そのため、継続的な株価の上値トライには、「リスクオンムード」を持続させる材料と市場の前向きな解釈が必要になりそうです。