日経平均はレンジ相場を上抜け、2万4,000円台乗せ
先週末12月13日(金)の日経平均終値は2万4,023円でした。終値で2万4,000円台乗せとなったのは2018年10月3日以来で、週足ベースでも3週連続の上昇を見せています。先週はFOMC(米連邦公開市場委員会)や英国議会の総選挙、メジャーSQなどのイベントが盛りだくさんでしたが、株価押し上げのスイッチボタンを押したのは、米中協議の「第1段階の合意」成立に向けた動きです。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年12月13日取引終了時点)
まずは先週の日経平均の値動きを上の図1で確認していきます。
ローソク足の推移をたどると、25日移動平均線と2万3,500円の狭い範囲での横ばいとなっていましたが、週末の13日(金)に「窓」空けで一段高となり、その勢いのままに2万4,000円台乗せを達成しました。この日の終値は前日比で598円高でしたが、前週末終値からの週間上昇幅が669円なので、13日(金)の取引だけでほとんどを占めています。
これにより、11月あたまから1カ月以上続いていた2万3,000~2万3,500円のレンジ相場をようやく上抜けることができました。
「上放れについていく」ことはできる?
テクニカル分析のセオリー通りならば、「上放れについていく」のが正解ということになるのですが、先週末の日経平均先物取引が大阪取引所で2万3,860円、CME(シカゴ)で23,905円と2万4,000円台割れで終えていますので、今週は再び2万4,000円台乗せトライからのスタートになります。
そのため、週初の16日(月)のローソク足がどのような形になるか、そして先週末13日(金)のローソク足との位置関係が注目されます。具体的には、16日(月)のローソク足が13日(金)の陽線の実体(四角い箱の部分・2万3,810~2万4,023円)からはみ出るのか、それとも、13日(金)の実体にすっぽりと収まってしまう「はらみ足」と呼ばれる形になるのかです。
16日(月)のローソク足が13日(金)の実体を超えることができれば上昇基調に弾みがつく格好になりますが、反対に下抜けやはらみ足の場合には上昇の勢いが鈍くなる可能性が出てきます。
とはいえ、足元の株式市場は基本的に上方向を目指しやすい環境が整ってはいます。例えば、トレンド転換を探る指標として、平均足とMACDの組み合わせをこれまでに何度か紹介してきましたが、実際に下の図2を見ると、日足ベースではMACDがシグナルを上抜けクロスしており、図2からもレンジ相場の上抜けを示唆しています。
■(図2)日経平均の平均足(日足)とMACD(2019年12月13日取引終了時点)
継続的な上値トライには、前向きな材料が必要
次の日経平均の上値目標となるのは、昨年の取引時間中の高値(10月2日の2万4,448円)になりますが、直近までのレンジ相場を8月下旬からの中期的な上昇トレンドとして捉えると、「中段もちあい」からの上放れの形になりました。
そこで、前回のレポートでも紹介した日経平均の値幅予測を計算したものをあらためて確認します(下の図3)。
■(図3)日経平均(日足)の動き(2019年12月13日取引終了時点)
底を打った8月下旬から9月半ばの戻り高値までの値幅と、9月の戻り高値から10月上旬までの押し目までの値幅の2つを使って3つの予測値を算出していますが、今回の上放れによってE計算値の2万4,337円が射程圏内に入るため、昨年高値の株価水準までの上昇は十分にあり得ます。
その一方で、再び株価が上値を追っていくことによって、安値同士を結んだトレンドラインからはかい離が進むことになります。
確かに、先週の米中合意成立と英国選挙のイベント通過によって相場の不安が後退し、積極的な売り材料も減ったわけですが、年末にかけて好材料の出尽くし感が強まってくれば意外と株価を伸ばせず、下げやすくなってしまう可能性があります。つまり、「これまで不安の中で登ってきた株価が、安心と歓喜の中でしぼんでいく」という格好です。
先週は日銀短観も発表されましたが、あまり内容が芳しくなかった他、今週も米中で経済指標の発表が相次ぎます。実体経済の悪化へと相場の視点が向かい、利益確定を含めた売りに押される展開には注意しておく必要がありそうです。
そのため、継続的な株価の上値トライには、「リスクオンムード」を持続させる材料と市場の前向きな解釈が必要になりそうです。
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