少額から米・連続増配銘柄に分散投資する方法

 こうした連続増配銘柄に直接投資する他に、「連続増配銘柄に広く分散投資するETF(上場投資信託)」に投資する方法もあります。米国籍ETFの「バンガード米国増配株ETF」(ティッカーシンボル:VIG)は、米国市場で「10年以上増配実績のある大型株を中心に構成されている株価指数」(NASDAQ US Dividend Achievers Select Index)に連動する投資成果を目指し運用されているETFです。

 同ETFを構成する上位10銘柄を挙げると、マイクロソフト(MSFT)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、ウォルマート(WMT)、ビザ(V)、コムキャスト(CMCSA)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、メマクドナルド(MCD)、アボットラボラトリーズ(ABT)、ドトロニック(MDT)、コストコホールセール(COST)となっています(10月末時点)。

 図表4は、約10年にわたる同ETFの取引価格と1年(12カ月)累計実績分配金の推移を示したものです。長期の視野で振り返ると、取引価格が上昇してきた一方、分配金が増配基調をたどってきたことがわかります。

 米国籍ETFの取引単位は米国の個別銘柄(1株)と同様に「1口」から売買できます。同ETFの取引価格は現在122ドル程度ですから、「比較的少額(約1万3,300円程度)から米国の増配株ポートフォリオに投資することができる」と言えます。少額から投資を始め、「貯めながら増やす資産形成」を実践することが可能となります。

 なお、同ETFは経費率(信託報酬の年率換算)が0.06%と低いことでも有名です。直近の1年配当実績は、約1.7%となっています。同ETFの取引価格は年初来騰落率が+26.3%とS&P500指数(同+25.3%)をやや上回っています(12月11日)。運用コスト(経費率)が低い良質なETFとして、相対的に人気を集めていることを示しています。長期投資の視野で「値上がり」、「配当」、「増配(配当の増加)」の3つを期待できるETFとして注目したいと思います。

<図表4:米国の増配銘柄に分散投資する米国籍ETF>

*上記は米国籍ETF(VIG)の取引価格と分配金実績を示したものです
*1年累計分配金=四半期毎に支払われる分配金の12カ月累計実績
出所:Bloombergのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2007年初~2019年12月6日)

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