米国株の予想増益率は日本株よりも優勢

 最近は米国株も日本株も、米中通商交渉を巡る日々の報道を受けた楽観と悲観の間で揺れ動いています。今週もトランプ大統領や米政府高官の発言で思惑的な売買が先行し株価は乱高下しました。来週末(15日)期限の対中追加関税を控え、市場は米中協議の進展を見守る神経質な動きとなりそうです。とは言え、日米市場の株価が底堅い背景として、業績見通しが底入れしつつある点に注目したいと思います。

 図表1は、S&P500指数とTOPIXベースの「12カ月先予想EPS(12 months forward looking EPS)」(市場予想平均)の12カ月累計実績EPSに対する伸び率予想と13週移動平均線を示したものです。12カ月累計実績EPSの前年同期比はS&P500指数で2.6%の増益、TOPIXは13.3%減益と厳しい状況ですが、「市場はバックミラー(過去)よりもフロント(先行き)をみている」との説が有力です。この点で、12カ月先予想EPSの12カ月累計実績EPSに対する伸び率をみると、S&P500は14.0%増益、TOPIXは8.5%の増益が見込まれています。

 米中交渉の進展や今後発表されるマクロ指標次第ですが、市場は「米国経済は12カ月内に景気後退入りせず、ソフトランディング(軟着陸)する」との見方をメインシナリオに、新年(2020年)は業績の伸び(増益率)が回復基調をたどることを織り込み始めたと言えそうです。そして、「米国市場の予想増益率が日本市場の予想増益率より高い」との点にも注目したいと思います。

<図表1:日米株価の堅調は業績回復期待が支え>

*12カ月先予想EPSはS&P500指数とTOPIXベース(Bloomberg集計による市場予想平均)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2015年初~2019年11月29日)