米国株と日本株の優劣の背景に収益性と成長性の差
一方、米国株と比較して日本株はどうでしょうか。長期的な市場実績で日本株は米国株のリターンを劣後してきました。主要因とされているのが、日米市場の収益率と成長期待の優劣だと言われています。
図表3でみるとおり、米国株の予想ROE(株主資本利益率)は18.9%と高く、このことが市場による評価である予想PBR(株価純資産倍率)を約3.4倍に押し上げていると考えられます。一方、日本株の予想ROEは6.9%と世界市場のなかでも低位にあり、従って株価が安い(予想PBRも1.25倍と低い)と言えます。
米国市場の予想ROEが高い要因を業種別にみると、IT(情報技術)業種の予想ROEが42.1%、生活必需品の31.1%、ヘルスケアの26.4%、消費財・サービスの24.8%が市場全体をリードしています。株主資本に対する利益率(収益率)が高い米国株は世界のマネー(投資資金)を引き付けやすいと言えそうです。
図表4は、世界銀行が調査している主要国の名目GDP(国内総生産/ドル)の推移を比較したものです。日本の製造業・サービス業が生み出す付加価値総計(海外投資から得られる収益を除く)は2012年をピークに伸び悩んできました。一方、米国の名目GDPは順調に成長し続けてきました。
金融危機(リーマンショック)直後の景気後退でさえ「小さな窪み」にみえます。こうして、米国の2018年の名目GDPは1946年比で約38倍となりました。先進国で最も堅調な株式リターン実績を支える成長性がみてとれます。
なお、13~14億人の人口を誇る中国やインドは「一人当たりGDP(所得)」の増加もあり成長が著しく、インドの名目GDPは2030年前後に日本を凌駕すると予想されています。日本株だけでなく、米国を中心に「グローバル分散投資」を実践していく意義を見直したいと思います。
<図表3:主要市場を予想ROEと予想PBRで比較する>
<図表4:名目GDPの推移で成長性を比較する>
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