配当貴族指数の長期パフォーマンスに注目

 こうしたなか、米国市場における「配当貴族指数(S&P500 Dividend Aristocrats Index)」の長期的なパフォーマンスに注目したいと思います。配当貴族指数とは、S&P500指数構成銘柄のうち「25年以上連続して増配してきた銘柄群」(現在は57銘柄)で構成されています。  

 図表2は、2000年初を100とした場合の配当貴族指数、米国株式市場平均(S&P500指数)、日本株式市場平均(TOPIX)の総収益指数(配当込みリターン)の推移を比較したものです。米・配当貴族指数の総収益指数は12月6日時点で738.3となり、S&P500指数(321.3)やTOPIX(149.7)に対して優勢を鮮明にしています。

 2000年以降の約20年の間には、米国景気が後退や停滞に陥ってきたことが何度もありました。近年も、貿易戦争や中国の景気減速など景気を巡る不透明感は拭えません。こうしたなか、図表2は、「経営環境が一時的に悪化しても毎年(毎期)着実に配当を増やし続けてきた企業群」が市場で評価されてきたことを示しています。

 市場は今後も、「配当を切れ目なく増やし続ける企業」を、株主を重視した経営を実践している企業として評価し続けると考えられます。

<図表2:米・配当貴族指数の長期相対推移>

*米・配当貴族指数(S&P500 Dividend Aristocrats Index)、S&P500指数、TOPIXの推移を比較したものです。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2000年初~2019年12月6日)

 参考情報として、米・配当貴族指数の主要構成銘柄(時価総額で上位10銘柄)を図表3に一覧しました。長期連続増配銘柄には、世界でブランド名が知られる安定成長セクター(業種)に属する銘柄が多いことが分かります。特に、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、プロクター&ギャンブル(PG)、コカ・コーラ(KO)、ペプシコーラ(PEP)、アボットラボラトリーズ(ABT)など「45年以上連続して配当を増やし続けてきた銘柄群」には著名な安定成長企業が目立ちます。

 なお、これら10銘柄の予想配当利回りを算術平均すると3.0%となります。新年も政治経済を中心とした不透明材料が株価波乱要因として不安視されますが、「いかなる経営環境でも配当を増やし続けてきた実績」に注目したいと思います。

<図表3:主な配当貴族銘柄(参考情報)>

*上記はS&P500配当貴族指数の構成銘柄について時価総額の降順に10銘柄のみを示したものです。
*予想PERと予想配当利回りはBloomberg集計による市場予想平均
出所:Bloombergのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2019年12月11日)