バイオ、金相場、S&Pを追うならこのETF

4.IBB(ナスダック・バイオテクノロジー指数の構成銘柄に分散投資するETF):
 IT革命に続いて高い成長が期待されている分野がバイオテクノロジーと言われています。先進国で高齢化が進むなか、遺伝子治療を中心とするナノテクノロジーやAIによる医療開発の分野で飛躍が予想される企業群が多いとされます。

 IBBは、こうしたバイオ分野で株式時価総額が大きい銘柄で構成されるナスダック・バイオテクノロジー指数に連動する投資成果を目指す米国籍ETFです。上位組入れ銘柄には、セルジーン、アムジェン、ギリアド・サイエンシズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、イルミナなどがあります。

5.GLDM(金相場のパフォーマンスに連動を目指す米国籍ETF):
 GLDMは、金相場の動きに連動した動きが期待できるETFです。現物の金地金によって裏付けられており、小口からでも効果的に金投資(金へのエクスポージャー)をポートフォリオに組み入れることができます。

 GLDMの経費率は0.18%と低水準で、金相場に連動を目指す他の公募投信やETFに対するコスト的メリットに注目したいと思います。株式が下落し、債券が買われる(金利が低下する)局面で買われやすい特徴が期待される点で、リスク分散効果を発揮するETFとして検討したいと思います。

6.PFF(米国上場の優先株式に分散投資するETF):
 PFFはS&P米国優先株式指数に連動した投資成果を目指したETFです。「優先株式」とは、普通株式とは異なる条件や権利を付した種類株式のうち、(議決権がほぼ無い一方)普通株式に比べて「剰余金の配当を優先的に受ける、あるいは残余財産の分配を優先的に受ける権利をもつ株式」を意味します。

 値上がりは限定的ですが、分配金利回りが高い点が特徴で、PFFはETFでは珍しく「毎月分配型ETF」(実績分配型)となっており、分配金利回り(過去12カ月実績配当金÷取引価格)は約5.6%となっています(11月13日)。

7.VOO(S&P500指数に連動を目指す低コストのETF)
 最後に、いろいろ迷ったらこれ(?)と言えそうなETFが、米国市場に上場されている時価総額上位500銘柄で構成されるS&P500指数に連動を目指すVOOです。

 S&P500指数に連動するファンドは国内の追加型公募投信や東証上場ETFに多く存在しますが、投資家(受益者)が負担する「経費率が0.03%(年率)」と圧倒的に低いのがVOOの魅力です。邦貨換算で約12.4兆円の運用総額だからこそ実現できるローコストETFと言えるでしょう。

 上記のうち、GLDMやPFFは、株式市場(S&P500指数)が下落し債券が上昇する(債券利回りが低下する)局面でパフォーマンスが相対的に向上した特徴がみられます。ポートフォリオ効果(リスク分散効果)を意識した資産運用を構築する上でも興味深いETFと言えそうです。

 ETFはExchange Traded Fund(上場投資信託)の略ですが、「ETFとは、(E)選んで、(T)楽しい、(F)ファンドの略」とのジョークもあります。新年(2020年)に向け、期待リターンや潜在リスクだけでなくコスト(費用)も意識しつつ、相場観やお好みに応じ複数の海外ETFに分散投資していきたいと思います。

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