MOAT、PIO、HACK、IBB、GLDM、PFF、VOOの注目点は?

 日本の投資家に比較的馴染みが薄い(東証上場ETFに同種類のETFがない)種類で、新年に向けて注目したい海外ETFについて概略を紹介したいと思います。

1.MOAT(世界のモート企業に分散投資するETF):
 モート(Moat)とは城を取り巻く「堀」(城池)を意味します。外敵から攻め込まれにくい「ワイド・モート」(広い城池)を保有する企業は、技術・製品・サービスの面で競合他社に対する優位性のある企業を総称し、長期的かつ安定的に収益を得られやすい特徴が期待されています。

 MOATは、「ワイド・モート・フォーカス指数」に連動を目指す米国籍ETFで、直近の上位組入れ銘柄としては、バイオジェン、ステート・ストリート、ブリストル・マイヤーズ・スクィブ、アムジェン、インテルなどが挙げられます。

図表3:MOATの相対的パフォーマンスに注目

(出所)Bloombergのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2019/11/13)

2.PIO(世界の水資源関連銘柄に分散投資するETF):
「日本人は水と安全はタダだと思っている」とのイザヤ・ベンダサン氏の言葉は有名です。実際、安全な水は人間にとり生活用水、農業用水、工業用水に不可欠な資源として需要が拡大しています。

 今後も世界の総人口と1人当り所得は伸び続け、水源開発、工業用水供給、水の再利用、上下水道、海水淡水化などのウォーター・ビジネスは「景気サイクルに左右されにくい安定成長分野」と言われます。PIOは、水資源関連銘柄で構成されるグローバー・ウォーター指数に連動するように運用されている米国籍ETFです。

3.HACK(世界のサイバー・セキュリティー銘柄に分散投資するETF):
 IT革命が進展する世界では、個人情報はもちろん、企業や国家の機密情報へのサイバーテロやサイバー攻撃を防ぐ技術開発・サービスへの需要が成長しています。こうしたサイバー・セキュリティー関連銘柄に分散投資するETFがHACKです。

 ISEサイバー・セキュリティー指数に連動する投資成果をあげることを目指しています。現在の上位組入れ銘柄には、リフォス・グループ、カーボナイト、フォーティネット、パロアルトネットワークス、シスコシステムズなどがあります。