アップルはアップルウォッチが堅調をけん引

 アップル(AAPL)の第4四半期(9月期)決算はEPSが予想2.83ドルに対し3.03ドル、売上高が予想628.6億ドルに対し640.4億ドル、売上高成長率は前年同期比+1.8%でした。

 今回、同社の決算が予想を上回った理由はiPhoneの売上が好調だったからです。

 近年、iPhoneは新鮮味に欠け、買い替えを先延ばしにする消費者が多かったのですが、新しいiPhone 11は消費者が最も重視するカメラ機能に進化が見られ、それが好感されました。

 今回の9月期決算は新発売されたiPhone 11の最初の10日間だけしか含んでいないため、アップサイドのほとんどは第1四半期(12月期)決算に計上されると予想されます。実際、アップルが示した第1四半期売上高ガイダンスの中値を計算すると875億ドルと、コンセンサスの862億ドルを大きく上回っています。

 9月期決算の分析に戻ると、売上高の内訳は製品が515.3億ドル、サービスが125.1億ドルでした。

 製品のうちiPhone売上高は▲9%の334億ドルで、予想は325億ドルでした。Mac売上高は69.9億ドル、iPad売上高は+17%の46.5億ドル、ウェアラブル・ホーム・アクセサリー売上高は+54%の65億ドルでした。このカテゴリーの成長が著しかった理由はアップルウォッチの好調によります。

 一方、サービス売上高は+18%の125.1億ドルでした。サービス・グロスマージンは64.1%、予想は64.0%でした。

 アップルは現在、ハードウェアを売る会社から、サービスをサブスクリプションで売る会社へと変貌を遂げつつあります。これがうまくいけば、投資家はより高い株価評価をアップルに与えることになるでしょう。言い換えればアップルのPER(株価収益率)はマルチプル・エクスパンション(=PERが拡大すること)を起こすというわけです。

 その理由は、サブスクリプションというサービスの性格上、将来の売上高の予想が立てやすくなるからです。投資家は予想が立てやすい(=そのことをウォール街独特の表現で「ビジビリティが高い」と言います)ものに対しては高い評価を与えるのが常です。

 地域別売上高では米国は+7%の293億ドル、欧州▲3%の149.5億ドル、中国▲2%の111億ドル、日本▲3%の49.8億ドル、アジア太平洋+7%の36.6億ドルでした。

 第1四半期売上高予想862億ドルに対し、新ガイダンス855億~895億ドルが提示されました。