大手ハイテク企業の決算が出そろう
米国の大手ハイテク企業の決算が出そろいました。
各社のEPS (1株当たり利益)と、売上高が事前のアナリスト・コンセンサスを上回ったかどうか、下表にまとめました。
銘柄(コード) | EPS | 売上高 | ガイダンス |
---|---|---|---|
アップル(AAPL) | 〇 | 〇 | 〇 |
アルファベット(GOOG/GOOGL) | ×(*) | 〇 | なし |
フェイスブック(FB) | 〇 | 〇 | 〇 |
マイクロソフト(MSFT) | 〇 | 〇 | 〇 |
インテル(INTC) | 〇 | 〇 | 〇 |
アマゾン(AMZN) | × | 〇 | × |
*アルファベットはウーバーへの投資の評価損15.3億ドルを計上した |
アマゾンを除けば、各社の決算は良い内容でした。それでは各社ごとにチェックします。
アップルはアップルウォッチが堅調をけん引
アップル(AAPL)の第4四半期(9月期)決算はEPSが予想2.83ドルに対し3.03ドル、売上高が予想628.6億ドルに対し640.4億ドル、売上高成長率は前年同期比+1.8%でした。
今回、同社の決算が予想を上回った理由はiPhoneの売上が好調だったからです。
近年、iPhoneは新鮮味に欠け、買い替えを先延ばしにする消費者が多かったのですが、新しいiPhone 11は消費者が最も重視するカメラ機能に進化が見られ、それが好感されました。
今回の9月期決算は新発売されたiPhone 11の最初の10日間だけしか含んでいないため、アップサイドのほとんどは第1四半期(12月期)決算に計上されると予想されます。実際、アップルが示した第1四半期売上高ガイダンスの中値を計算すると875億ドルと、コンセンサスの862億ドルを大きく上回っています。
9月期決算の分析に戻ると、売上高の内訳は製品が515.3億ドル、サービスが125.1億ドルでした。
製品のうちiPhone売上高は▲9%の334億ドルで、予想は325億ドルでした。Mac売上高は69.9億ドル、iPad売上高は+17%の46.5億ドル、ウェアラブル・ホーム・アクセサリー売上高は+54%の65億ドルでした。このカテゴリーの成長が著しかった理由はアップルウォッチの好調によります。
一方、サービス売上高は+18%の125.1億ドルでした。サービス・グロスマージンは64.1%、予想は64.0%でした。
アップルは現在、ハードウェアを売る会社から、サービスをサブスクリプションで売る会社へと変貌を遂げつつあります。これがうまくいけば、投資家はより高い株価評価をアップルに与えることになるでしょう。言い換えればアップルのPER(株価収益率)はマルチプル・エクスパンション(=PERが拡大すること)を起こすというわけです。
その理由は、サブスクリプションというサービスの性格上、将来の売上高の予想が立てやすくなるからです。投資家は予想が立てやすい(=そのことをウォール街独特の表現で「ビジビリティが高い」と言います)ものに対しては高い評価を与えるのが常です。
地域別売上高では米国は+7%の293億ドル、欧州▲3%の149.5億ドル、中国▲2%の111億ドル、日本▲3%の49.8億ドル、アジア太平洋+7%の36.6億ドルでした。
第1四半期売上高予想862億ドルに対し、新ガイダンス855億~895億ドルが提示されました。
アルファベットは力強い決算
アルファベット(GOOG/GOOGL)の第3四半期決算は一見するとEPSが予想を下回ったように見えるのですが、これは投資ポートフォリオの評価損を計上したためであり、それを考慮する必要があります。
同社の第3四半期のEPSは予想12.71ドルに対し10.12ドル(*)、売上高が予想401.7億ドルに対し405億、売上高成長率は前年同期比+20.0%でした。
*:今回、アルファベットはウーバーへの投資の評価損15.3億ドルを計上しました
TAC(トラフィック・アクイジション・コスト)は74.9億ドルでした。前年同期は65.8億ドルでした。広告売上高に占めるTAC比率は22%(前年同期は23%)でした。
ペイド・クリックは前年同期比+18%、コスト・パー・クリックは▲2%でした。
インプレッションは+12%、コスト・パー・インプレッションは▲3%でした。
営業利益は91.8億ドル(前年同期は86.3億ドル)でした。営業マージンは23%(前年同期は26%)でした。
営業キャッシュフローは154.7億ドル、フリー・キャッシュフローは87.3億ドルでした。
アルファベットの決算はウェブ広告全体のモメンタムがまだまだ衰えていないことを感じさせる力強いものでした。
フェイスブックはクリーンな内容
フェイスブック(FB)の第3四半期決算はEPSが予想1.88ドルに対し2.12ドル、売上高が予想173.5億ドルに対し176.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+28.6%でした。
DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は+9%の16.2億人でした。MAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)は+8%の24.5億人でした。
営業マージンは41%(前年同期42%)でした。
営業キャッシュフローは93.1億ドル(同75億ドル)でした。
フリー・キャッシュフローは56.3億ドル(同41.5億ドル)でした。
実効税率は17%(同期13%)、前期は46%でした。
第4四半期の売上高成長率は前年同期比+20~25%を見込んでいます。コンセンサス予想は+24%です。
フェイスブックの決算は今回決算発表した大手ハイテク株の中でも最も混じりけのない、クリーンな内容だったと思います。
マイクロソフトはクラウドで好調
マイクロソフト(MSFT)の第1四半期(9月期)決算はEPSが予想1.24ドルに対し1.38ドル、売上高が予想322.4億ドルに対し331億ドル、売上高成長率は前年同期比+13.7%でした。
同社は今アグレッシブにクラウドへの移行を推進しています。今回の決算発表では、それがとてもうまく進捗していることが明らかになったと思います。
部門別売上高
プロダクティビティ&ビジネス・プロセス 111億ドル(前年同期比+13%)
インテリジェント・クラウド 108億ドル(同+27%)
モア・パーソナル・コンピューティング 111億ドル(同+4%)
プロダクティビティ&ビジネス・プロセス) | 111億ドル(前年同期比+13%) |
---|---|
インテリジェント・クラウド | 108億ドル(同+27% |
モア・パーソナル・コンピューティング | 111億ドル(同+4%) |
商品・サービスごとの売上高成長率(前年同期比)
オフィス・コマーシャル・プロダクツ&クラウド・サービス | +13% |
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オフィス365コマーシャル | +25% |
オフィス・コンシュマー・プロダクツ&クラウド・サービス | +5% |
リンクトイン | +25% |
ダイナミックス・プロダクツ&クラウド・サービス | +14% |
ダイナミックス365 | +41% |
サーバ・プロダクツ&クラウド・サービス | +30% |
アジュール | +59% |
エンタープライズ・サービス | +7% |
ウインドウズOEM | +9% |
ウインドウズ・コマーシャル・プロダクツ&クラウド・サービス | +26% |
サーチ広告 | +11% |
サーフェス | ▲4% |
Xボックス | ±0% |
グロスマージンは69%でした。
営業利益は前年同期比+27%の127億ドル、営業利益マージンは38%でした。
営業キャッシュフローは138.2億ドルでした。
アンアーンド・レベニューは340.3億ドル、前年同期は280.8億ドルでした。
第2四半期売上高は予想359.5億ドルに対し新ガイダンス351.5億~359.5億ドルが提示されました。
またマイクロソフトは総額1兆円を超えると言われるJEDI(国防総省次世代プラットフォーム)プロジェクトを受注しました。アマゾンのAWSに競り勝ったわけです。
インテルは2020年へ向け好調
インテル(INTC)の第3四半期決算はEPSが予想1.24ドルに対し1.42ドル、売上高が予想180.7億ドルに対し192億ドル、売上高成長率は前年同期比+0.1%でした。
部門別売上高
クライアント・コンピューティング | 97億ドル(前年同期比+5%) |
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データセンター | 64億ドル(同+4%) |
IOT | 10億ドル(同+9%) |
モービルアイ | 2.3億ドル(同+20%) |
メモリー | 13億ドル(同+19%) |
プログラマブル | 5.1億ドル(同+2%) |
グロスマージンは58.9%、前年同期は64.5%でした。
第4四半期のEPSは予想1.21ドルに対し新ガイダンス1.24ドル、売上高予想188.3億ドルに対し新ガイダンス192億ドルが提示されました。
2019年のEPSは予想4.38ドルに対し新ガイダンス4.60ドル、売上高予想694.7億ドルに対し新ガイダンス710億ドルが提示されました。
インテルは200億ドルの自社株買い戻しプログラムを発表しました。
インテルは10ナノメートルへの移行で台湾セミコンダクター(TSM)の後塵(こうじん)を拝しているのですが、2020年はアグレッシブに先端技術への移行に取り組む予定であり、その成功に自信を持っています。
インテルがプロセス技術で再び昔のようなリーダー的な地位を取り戻せば、株価評価も一皮むけることが予想されます。
アマゾンは先行投資が業績圧迫
今回の一連の第3四半期決算発表の中でアマゾン(AMZN)だけは明らかに落胆すべき内容でした。その原因は注文したのと同じ日に商品が届けられる、いわゆる「セイムデー・デリバリー」実現に向け、いま同社がアグレッシブに先行投資しており、その投資負担が業績を圧迫したからです。
第3四半期はEPSが予想4.49ドルに対し4.23ドル、売上高が予想687.2億ドルに対し699.8億ドル、売上高成長率は前年同期比+23.7%でした。
部門別売上高
北米 | 426.4億ドル(前年同期比+24%) |
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海外 | 183.5億ドル(同+18%) |
AWS | 89.95億ドル(同+35%) |
オンラインストアは+22%、サードパーティーは+28%、サブスクリプション・サービスは+35%、広告は+45%でした。
営業キャッシュフローは78.92億ドル、前年同期は85.88億ドルでした。
第4四半期の売上高は予想871.7億ドルに対し新ガイダンス800億~865億ドルが、営業利益予想41.8億ドルに対し新ガイダンス12億~29億ドルが提示されました。
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