5:バランス・ファンドで運用して効率を損なった
日本の企業年金は、1990年代前半くらいまで、信託銀行ないし生命保険会社によるバランス運用(株式も債券も含まれる運用)に積立金の運用を委託することが多かった。
特に、企業年金の多くは、バランス運用を複数使っていたので、全体の資産配分がどうなっているかを把握することも大変だったし、これをコントロールすることはほとんど無理だった。
初心者が手軽に使うことができるという理由でバランス・ファンドを勧める商業主義的な運用アドバイザーは少なくないが、個人の場合、バランス・ファンドは、中身が把握しにくいことに加えて、個々のアセットクラス毎にファンドを組み合わせるよりも手数料が高くなるケースが多い。細かいことが分からない初心者は、バランス・ファンドがいい、という意見には賛成できない。
運用者としては、バランス・ファンドの運用はなかなか楽しい仕事だと思うのだが、個人投資家にはバランス・ファンドは勧められない。投資家は、バランス・ファンドは適切な選択肢ではないということが分かる程度に運用を理解してから大切なお金を投じるべきだ。