年金部会で70歳超の繰り下げ増額が議論される。年7%で最大84%増額の可能性も

 現在の年金部会では、65歳を中央に置くのではなく、むしろ高齢期のほうに受取開始年齢の範囲を広げる議論をしています。現実問題として65歳に到達した人を「高齢者」と呼ぶにはまだ元気で、知力も有り余っているのが日本の65歳であるからです(これは調査結果からも明らか)。日本人の60代は、OECD(経済開発協力機構)平均にそん色ない知的レベルを維持していますし、健康レベルでも20年前に比して5~10歳ほど若返っている(老いが遅く訪れる)状態にあります。

 先日10月18日に開催された年金部会では、下記の案が示されました。

・繰り上げはそのままで減額率を年4.8%、60歳からならマイナス24%に緩和する
・繰り下げは年8.4%は維持しつつ、75歳まで伸ばす余地を認め、最大でプラス84%まで年金を増やせるようにする

 75歳まで引き上げるのはおおむね予想されていたのですが、増額率はそのままなので、なんと年金額を84%も増やすチャンスが「長く働く」ことで得られる仕組みです。

 また意外だったのは繰り上げについては月あたり0.5%のマイナスを0.4%に抑えたことで、ほんのわずかながら繰り上げも有利になっています(財政上の中立の観点からの部会案であり、確定ではない)。