冷戦50年でも、日本株は「買い」と考える理由

 米中の対立に抜本的な解決のメドがないのに株なんか買って良いのか、と考える人もいるかもしれません。米中対立と株式投資について、私の考えをお話しします。米中対立は根が深く、今後、50年以上続く問題になるでしょう。20世紀の米ソ冷戦に近いものになると考えています。

 それでは、今後50年間、米中対立があって世界経済はまったく成長しなくなるのでしょうか? 株はまったく上がらなくなるのでしょうか? そんなことはないと思います。

 米ソ冷戦があった20世紀後半、対立が激化し、第3次世界大戦が懸念された時は、世界的に株価は下がりました。ただし、対立が緩和する局面では、世界経済の成長にともなって、株価は上昇しました。

 米中冷戦も同じ構造だと思います。米中対立がどこまでエスカレートし、世界景気へのマイナス影響がどこまで拡大するかわからない時、世界的に株が上がらないのは当然です。

 ただし、米中対立が、「緩和」すれば、その間に世界経済は成長し世界的に株が上昇すると考えています。

 私が注目しているのは、IT活用の最先端で、新たな変化が起こりつつあることです。第4次産業革命と言われる変化です。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)、ビッグデータ分析、ロボットの活用によって、産業構造の革新が加速する見込みです。これをバックアップする通信インフラとして、5Gの普及が始まる見込みです。

 今は、米中対立によって第4次産業革命の流れにブレーキがかけられている状態です。それでも、このまま第4次産業革命がまったく進まなくなるとは考えられません。来年には5Gの普及も始まるでしょう。

 来年、もし米中の対立が少しでも緩和し、第4次産業革命の流れが加速するならば、世界的に景気が回復し、日経平均は上昇トレンドに入ると予想しています。
 

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