50年続くかもしれない「米中冷戦」

 トランプ大統領は、来年に大統領戦を控え、米中対立をいったん「休戦」にしようとしているように思われます。ただし、米中の対立は根が深すぎて、抜本的な解決策はありません。それで、とりあえず部分合意というアイディアが出てきたのでしょう。

 米中の対立は単なる貿易戦争ではありません。「ハイテクの覇権争い」に発展しています。米国は中国の「国家資本主義」を批判しています。国の補助を得た中国企業が半導体、液晶、スマートフォン、車載電池、5G(第5世代移動体通信)など世界の有望市場で次々とトップシェアを取っていく戦略です。中国は、成長の根幹にかかわる「国家資本主義」を、米国に批判されたからといって、やめるつもりはありません。

 貿易戦争も、泥沼に落ちる可能性があります。中国企業は、歴史的な流れからすると、そろそろ自国からの輸出を抑え、海外での現地生産をどんどん立ち上げていかなければならない段階に入っています。ところが、米国との関係をここまで悪化させてしまうと、中国企業が米国でどんどん現地生産を立ち上げるのは困難になりつつあります。

 日本も1980年代に米国と苛烈な貿易戦争を体験し、その後、日本企業はどんどん米国での現地生産を立ち上げ。結果、日米の貿易戦争は、影を潜めました。中国企業が日本と同じことをやろうとしても、やりにくくなっています。