さらに、新興株市場の東証マザーズ指数で見ても、下落トレンドが継続しています(下の図5)。

■(図5)東証マザーズ指数(日足)の動き(2019年10月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そのため、勢いよく上昇した日経平均に対してどこかモヤモヤ感が漂っている印象があり、「もう一波乱あるかも」ぐらいの気持ちで臨むのが無難かもしれません。

米中摩擦の状況には引き続き要注意

 前回のレポートでも触れましたが、今回の米中協議で合意された内容は、核心的な分野での合意ではなく、第1~3弾の制裁関税の税率引き上げが見送られたに過ぎません。12月には別の第4弾(2回目)の制裁関税が発動されるスケジュールに変更はなく、さらに踏み込んだ合意に向けた協議の継続が必要です。

 また、今回の合意文書の署名は来月のAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会談のタイミングとの見方が大勢ですが、それまでの間にネガティブな動きが出てくる可能性もあります。合意間近とされながら、「ちゃぶ台」がひっくり返された経緯は今年の4~5月にかけても見られました。

 つまり、米中摩擦の状況に対してムードは改善したものの、状況はあまり変わっていない点には警戒しておく必要があります。摩擦の長期化は国内外の景気や企業業績の底打ち・回復期待を先延ばしさせてしまい、株価の動きを失速しやすくさせてしまいます。

 仮に、今週の相場が下落に向かった場合、日経平均としては節目の2万2,000円台や25日移動平均線がサポートとして機能し「押し目」を演出できるかが焦点になりそうです。

 もっとも、各国の金融緩和や景気対策などが相場を支えている面もありますが、こうした背景による株価上昇はあくまでも「不安がくすぶっていてもまだ買える」段階から脱し切れていない状況と言えます。そのため、今後は「不安が後退したのでもっと買える」状況にできるかが年末相場に向けての大きな課題になりそうです。