もし1つの銘柄に資金を集中させて投資していたら…

 上記のケースでは、最終的に投資に回せるお金の全額を失ってしまうことになります。そのような最悪の事態を防ぐためにはどのようにすればよいでしょうか?

 最もやってはいけないこと、それは「1つの銘柄への集中投資」です。

 筆者は、1つの銘柄へ集中して投資することにより、大失敗をして全財産を失ってしまう個人投資家を何人も見てきました。

 でも、集中投資せずに複数の銘柄に投資していたら、ほとんどのケースでそのような最悪の事態は回避することができるのです。

 1つの銘柄へ集中投資したとしても、例えば株価が値下がりを始めたらすぐに売却すれば事なきを得ることができます。

 でも、自然災害により停電や通信障害が発生し、売買の注文ができないとなればどうでしょう? 株価が大きく値下がりしても売却できないのですから、含み損がどんどん拡大していきます。信用取引を使ってレバレッジを目一杯かけていれば、株価が30%ほど下落しただけで、投資している全ての資金が吹き飛んでしまうのです。

どうすれば最悪の事態を防げるか

 もし上のケースで、A社株に集中投資するのではなく、10銘柄に分散投資していればどうでしょうか? A社株が大きく下がっても、投資資金全体からみれば小さい金額に収まりますから、全財産を失うという恐れはなくなります。

 また、東日本大震災のときのように、A社株のみならず、日本株全てが急落するようなケースもあります。これに備えるためにはプットオプションをあらかじめ買っておくことが有効になります。

 A社株だけでなく、複数の銘柄に分散して投資しておけば、A社株だけ大きく値下がりしたときのリスクを軽減できますし、全ての株が大きく値下がりするようなときはプットオプションにてカバーできます。

 信用取引をする場合も、レバレッジを最大にかけて目一杯勝負するのではなく、万が一にそなえてレバレッジも控えめにしておいたほうが安心です。

 なお、1つの銘柄に集中して投資することで発生するリスクは、「買い」だけでなく「空売り」でも同様です。1つの銘柄に集中して空売りをした結果、好材料などにより株価が急騰すれば、投資資金の全てを失ってしまうことになりかねません。