よく考えられたレバレッジの運用はOK

 結論として、長期的な資産形成のための運用にあっても、よく理解し考えられて十分にコントロールされた利用がなされるのであれば、レバレッジを使った運用を行うことは、特に、人的資本が潤沢である一方で運用に回せる資金が少ない場合に十分合理的であり得る。

 なお、筆者は、資金量とリスクテイク能力に大いに余裕がある富裕投資家が、利用金額に制約のあるNISA(少額投資非課税制度)を利用する場合に、レバレッジを使ったファンドを長期保有することが、NISAの節税枠の有効利用として合理的であり得ると提案したことがある。広く一般向けではないが、そのような場合もあり得るだろう。

 もちろん、レバレッジの利用にあっては、個人の財産状態、人的資本の大きさ、リスクに対する態度、レバレッジを利用する実質的な借金のコストなどに加えて、今回は取りあげなかったが、将来の潜在的支出の必要性(ライアビリティ=負債)の影響も考慮しなければならない。

 考慮すべき要素は少なくないが、運用にあってレバレッジが必ずしも悪いものではないことをご理解頂けたら幸いだ。