「良い借金」の三条件とは?

 一方、世間にあって、借金は企業にも個人にも広く利用されている。

 企業の場合、銀行から資金を借り入れたり、社債を発行したりして、借金を行い、設備投資、人の採用、原材料の仕入れなどを行うことは、もちろん十分な検討と成算を前提とすべきだが、よくあることだ。

 企業の借金は、ビジネスを大きくするために役に立ち、言わば時間を短縮する効果がある。無借金にこだわって、利益を稼いでから、これを再投資してビジネスを大きくしようとすると、成長に時間がかかったり、ビジネスチャンス自体を失ったりする場合がある。

 借金は必ずしも悪いものではない。思うに「良い借金」の条件は三つある。
(1)資金使途の方が借金よりも期待利回りが十分高い
(2)確実に返済できる借金である
(3)借入金利が市場金利に対して大きくは高くない
の三点だ。

 金利を払ってお金を借りる以上、その金利を上回る利益が得られる計算が立つのでなければ借金をする意味がない。また、常識的には返せなかった場合のコストが莫大なので、借金は確実に返す前提で行わなければなるまい。さらに、市場金利以下での借入は困難だが、市場金利から離れた高金利での借金は避けたい。