今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、設問「今後、投資してみたい金融商品」と「今後、投資してみたい国(地域)」における、各選択肢の前月比に注目しました。

 以下のグラフは、前月比プラスだった選択肢一つにつき1ポイント、“特になし”が前月比マイナスだった場合1ポイントとして、各月のポイントを積み上げたものです(最大13ポイント)。

図:「今後、投資してみたい金融商品」における前月比プラスとなった選択肢の数

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成
注:設問「今後、投資してみたい金融商品」の選択肢は次の13個です。国内株式、外国株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金、原油、その他の商品(コモディティ)、カバードワラント、特になし(2019年9月時点)

図:「今後、投資してみたい国(地域)」における前月比プラスとなった選択肢の数

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成
注:設問「今後、投資してみたい国(地域)」の選択肢は次の13個です。日本、アメリカ、ユーロ圏、オセアニア、中国、ブラジル、ロシア、インド、東南アジア、中南米(ブラジル除く)、東欧、アフリカ、特になし(2019年9月時点)

 2019年9月の調査で、2008年10月の調査開始以来初めて、両設問の全ての選択肢で前月比プラス(“特になし”はマイナス)になりました。全ての選択肢で、前月に比べて投資に対して前向きな回答が得られたと言えます。

 例えば、これまでの傾向として、アメリカが投資先として有望だと思う人の割合が大きいときは、日本の割合が小さくなったり、国内株式に投資をしてみたいと思う人の割合が小さいときは、金(ゴールド)に投資をしてみたいと思う人が大きくなったりする傾向がありました。

 しかし、2019年9月については(8月の調査結果が芳しくなかったことは否めませんが)投資家の皆様はどの金融商品、どの国(地域)に対しても一様に、前月に比べてポジティブな姿勢を示したと言えます。

 米中貿易戦争の激化、米欧の貿易問題の顕在化、中東や香港の情勢悪化など、懸案事項は絶えず存在するものの、徐々にですが、投資熱が高まってきていると感じます。

 引き続き、設問「今後、投資してみたい金融商品」および「今後、投資してみたい国(地域)」における前月比に注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品2019年9月調査時点(複数回答)

投資対象 割合 前回比
国内株式 63.04% +4.21%
外国株式 39.95% +4.44%
投資信託 32.98% +4.30%
ETF 22.90% +3.03%
REIT 18.88% +2.97%
国内債券 5.95% +0.01%
海外債券 7.03% +0.50%
FX(外国為替証拠金取引) 10.93% +0.75%
金やプラチナ地金 15.23% +0.09%
金先物取引 2.38% +0.82%
原油先物取引 1.37% +0.21%
その他の商品先物 1.95% +0.08%
特になし 6.07% ▲3.09%
出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域)2019年9月調査時点(複数回答)

国名 割合 前回比
日本 35.40% +0.54%
アメリカ 47.87% +2.94%
ユーロ圏 3.75% +0.70%
オセアニア 4.65% +0.39%
中国 7.73% +2.05%
ブラジル 4.24% +0.23%
ロシア 2.73% +0.72%
インド 31.45% +1.92%
東南アジア 23.41% +2.08%
中南米(ブラジル除く) 2.58% +0.04%
東欧 1.85% +0.43%
アフリカ 8.90% +0.39%
特になし 9.92% ▲3.47%
出所:楽天DIのデータより筆者作成

執筆者の連載

●シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之 「テクニカル風林火山

●FXディーリング部 荒地 潤 「毎ヨミ!為替Walker

●コモディティアナリスト 吉田 哲 「週刊コモディティマーケット