10月に入り、消費税率が8%から10%へ引き上げられました。家計にじわりと響く出費。しかし、消費税増税前より圧倒的に有利になる税務上の特例があります。ご存知でしょうか。

消費税の増税前より圧倒的に有利な贈与税の特例があった!

 消費税の税率がこの10月より10%に引き上げられました。筆者もレシートを見ながら、増税を少しずつ肌で感じているところですが、皆さんはどうでしょうか?

 キャッシュレスで買い物した場合のポイント還元をうまく使えば、逆に増税前よりも安く買うことができます。ただ、全てのお店で使えるわけではないので、個人的には効果は限定的なものにとどまると感じます。

 そんな中、実は消費税の増税前より、増税後の今の方が圧倒的に有利となる、贈与税の特例があることをご存知でしたか? 今回はそちらをご紹介したいと思います。

住宅取得等資金贈与の特例とは?

 贈与税は、相続税逃れの生前贈与を防止するためのものなので、かなり高い税率が課せられています。しかし、政策的な観点から、いくつかの特例があります。その1つが、「住宅取得等資金贈与の特例」です。

 これは、直系尊属(父母、祖父母など)から住宅を取得するための資金として贈与を受けた場合、一定の金額まで贈与税を課税せず非課税とする、というものです。

 住宅の購入、取得により、それに関わる業種・業者の皆さんが潤い、内需拡大につながるという効果が期待できます。一方で、特に都心部においては住宅価格が高騰しており、若い世代が自分たちの力だけで住宅を購入するのはかなり困難な状況です。

 そのため、父母や祖父母から資金援助を受けて住宅取得しやすくすることで景気拡大の効果が期待できることから、贈与税の特例として、非課税の規定が設けられているのです。

増税前よりどのくらい有利になったのか?

 消費税が増税される前の非課税額は以下のとおりでした。

・省エネ等住宅の場合:1,200万円
・それ以外(一般)の場合:700万円

 この非課税額に、基礎控除110万円も使えますので、一般の住宅の場合は700万円+110万円=810万円となります。

 これが、消費税が増税された今年10月から、来年(令和2年)3月31日までは、次のように非課税額が増額されるのです。

・省エネ等住宅の場合:3,000万円
・それ以外(一般)の場合:2,500万円

 なんと、増税前よりも非課税額が1,800万円も増額されているのです。
一般の住宅の場合、基礎控除110万円も加えれば、2,610万円まで贈与税非課税で財産を子や孫に贈与することができるのです。