大盤振る舞いの期間は、半年間

 もし、消費税増税前に住宅取得等資金として2,610万円を贈与したとすると、非課税額は810万円だけですので、残りの1,800万円に対し、545万円もの贈与税がかかってしまいます。これが、今年10月からはゼロとなるのです。

 ただし、この大盤振る舞いは来年(令和2年)3月31日までです。その後は以下のように非課税額が大幅に縮小されます。

◯令和2年4月1日~令和3年3月31日
・省エネ等住宅の場合:1,500万円
・それ以外(一般)の場合:1,000万円

◯令和3年4月1日~令和3年12月31日
・省エネ等住宅の場合:1,200万円
・それ以外(一般)の場合:700万円

 これを見ると、いかに今年10月~来年3月までの半年間だけが大幅に優遇されているのかが分かるのではないでしょうか。

 なお、相続時精算課税の制度を併用すれば、さらに2,500万円までは贈与税が課税されずに贈与できます。ただ、これは将来相続が生じた時に相続財産に加算されますので、安易な使用は筆者としてはお勧めしません。

適用を受けるための要件は?

 この特例を受けるためには、いくつかの要件があります。抜粋すると以下のようなものですが、これ以外にも要件がありますので、事前に税理士や税務署などに相談することをお勧めします。

・直系尊属から、住宅を取得するための金銭の贈与を受けること(住宅ローンの返済に充てるのはNG)
・土地だけの先行取得は認められず、家屋の取得、もしくは家屋と土地の同時取得が必要
・受贈者(贈与を受ける人)が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
・受贈者が贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
・取得する家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し居住すること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の確定申告書を提出すること(期限内に確定申告をしなければ特例は受けられません)

 子や孫が2人以上いる場合、特定の1人だけに多額の住宅取得等資金贈与を行うと、他の子・孫との不公平感が生じ、相続が起きた際にトラブルの原因となりかねません。

 可能であれば全ての子・孫に平等に贈与する遺言書を、住宅取得等資金贈与を行った子とそうでない子の差を考慮した内容にするなどの対処を取っておいたほうがよいでしょう。

 もし近々、親や祖父母の援助を受けてマイホームを買おうという予定、子や孫にマイホーム取得の援助をしようという予定がある場合、良い物件を見つけたら来年の3月までの取得を考えてみてはいかがでしょうか。