最終的な判断は株価のトレンドを最優先

 なぜPERが低い状態で放置されているのか? これにはいくつかの理由が考えられます。例えば、売買高が少なく流動性リスクが高いため、その分株価が割安に見えることもあるでしょう。将来の業績が伸び悩んだり、悪化すると投資家が思っているために、当期の利益を基準にして考えたPERでは表面上割安に見えるだけ、ということも考えられます。

 もちろん、本当に株価が割安にもかかわらず、人気がないため割安のまま放置されている可能性もあります。多くの投資家の関心が成長株に向いているような時期であれば、十分にあり得ます。

 しかし、私たち個人投資家は、PERが低い状態で放置されている本当の理由を正確に知ることができません。その一方、本当に割安な銘柄であればいつかは買われることになるでしょう。表面上割安に見えるだけの銘柄なら株価は上昇せず、場合によっては下落を続けるかもしれません。

 したがって、「最終的な判断は株価のトレンドを最優先する」というのが筆者の考え方です。

 割安であると自分が判断した銘柄が本当は割安でないならば、株価は上昇しない、もしくは下落することになりますから上昇トレンドになりません。それなら買わなければよいだけです。

 割安と判断した銘柄が本当に割安であっても、外国人やプロ投資家が買ってくれなければ株価はなかなか上昇トレンドになりません。その間は、買いは控えるようにします。でも、彼らが本格的にその銘柄を買ってくれれば、上昇トレンドになりますからその時に私たちも買えばよいのです。

 PERは非常にシンプルで分かりやすいですが、実際は使いこなすのがとても難しい指標です。

 PERが低いから割安、と単純に判断するのではなく、PERが低いさまざまな理由が考えられるという点を理解し、株価のトレンドを併用して大きな失敗をしないように活用してみてください。