中国の国慶節と米経済指標

 10月1日から中国は国慶節が始まり7連休となります。従って中国の金融市場は休場のため、対中投資制限についての中国からの反応は、中国当局者からの発言も含めて鈍いことが予想されます。

 従って今週は、中国が国慶節であるため、政治的要因よりも経済要因に左右される相場展開となりそうです。1日に発表された米国ISM製造業景況指数は、予想外の悪化によりドル/円は108円台前半から107円台半ばへと約70銭の円高となりました。

 今週は、まだまだ米国の重要指標が続きます。10月3日(木)にはISM非製造業指数、10月4日(金)には米雇用統計が発表されます。先月のISM景況指数は、製造業では景気の節目である50を割れてリセッション懸念が強まりましたが、非製造業では2008年2月以降で最大の伸びを示したことからリセッション懸念を払拭しました。

 ドル/円はこの2つの数字によって上下に振らされました。製造業景況指数で105円台に下落したドル/円は、非製造業景況指数の発表後は107円台に戻しています。米雇用統計も非農業部門雇用者数と賃金の伸び率が注目されますが、雇用者数の伸びが鈍くても賃金が順調に上昇していれば、ドルにとってはプラス材料となります。

108円台の重要ポイント

 ドル/円は、前回お話しした107~109円のレンジで今のところ動いています。今年の高安の半値水準である108円台半ばまで上昇しましたが、1日(火)のISM製造業景況指数の悪化によって円高に押し戻され、再び107円台にいます。108円台半ばの水準はこの2週間で2回跳ね返されたことから、ミニ・ダブル天井を付けた形になっているため、当面の節目として意識されそうです。

 さらに、その上には、1日に公表された日銀短観の2019年度想定為替レート108.68円があります。前回6月調査の109.35円から円高水準となったため、108.68円以上は本邦輸出企業からのドル売り圧力が強まることが予想されます。そのためこの108.68円も意識されるポイントとなります。

 107円割れ目前で107円の底堅さを示したドル/円は、この先108円を挟んだ展開が続くのか、先程お話した108円台のポイントをこなして109円方向に動くのかどうか、今週の米経済指標、国慶節明けの米中通商協議の動向に注目です。