2020年への展望

 今回詳述した短期相場は、何らかのニュース、相場自体の動意を確認して初めて判定できるケースが大半です。私は、米経済は終盤にあり、2020~2021年のドル/円は100円かそれ以下に下落するとのトレンド観を一貫して維持しています。9月のドル/円と株価の反発は、売り手のリスクオフ・ポジションの巻き戻しの範囲にとどまり、それ以上の上昇力は限定的と判断しています。

 しかし、トランプ大統領が2020年の米大統領選挙での再選を目指して、中国と貿易問題で何らかの合意を演出する可能性は小さくないとみています。政治的なマイナスの波風が立てられなければ、米国では大統領選挙ごろまで、景気終盤が永らえ、ドル/円相場は105~110円中心に小康し、低金利で米国そして日本の株価も底堅いと推移する目もあります。

 低インフレ環境で低インフレが続くと、相場サイクルの上下動のメリハリが利かず、相場予測もすっきりとは描きにくくなります。ただし、相場の小康にしばし安堵できても、リスクが下方に広いとの判断を変えるべきではないでしょう。米国大統領が立てた波風は、中国経済の減速から、欧州経済の失速のリスクを高じさせてもいます。将来に円高・株安が進んだ時を買いの好機とするためにも、ポートフォリオにリスクオフへの備えを継続すべき局面です。