ロング、ショート、中立で異なる感度

 市場には常にロング(買い持ち)、ショート(売り持ち)、中立(ポジションを持たない人)の3種類の人がいて、それぞれニュースに対する感度が異なります。

 相場参加者には、予想が外れて損失を抱えたとき、損切り(ポジションの巻き戻しによる解消)せず、ポジションを抱え込む傾向が確認されます。逆に、含み損を抱えると判断力が歪められることを知る投資のプロやベテランは、予想が外れた場合の損切りルールを徹底しています。

 さて今、相場上昇に有利なニュースが出たとします。とっさに敏感なショート組の一部が損切り覚悟で買い戻し、相場は上昇します。このニュースが買い材料として強力なものなら、ロング組はポジションを保持し、中立組からの新たな買い参入で上げ相場は持続します。

 しかし、敏感なショート派だけが条件反射的に買い戻したものの、中立派が買い参入するほどではないニュースなら、相場の一時的上昇を幸いにロング派が利益確定売りに出動、相場が元の価格水準付近まで押し返されると、初期に損切りしなかったショート派の一部が「ヤレヤレ」と買い戻しに出て、相場を下支えるという展開がよくあります。

 思惑的なポジションは、価格水準や時期に関して不均等に存在します。特に、近い時点の高値・安値、相場の大台変わり(ドル/円の中期相場で言えば100円、105円、110円、日計りなど短期相場では107円、107円50銭、108円など)、目立つチャート・ポイントなどに集まりがちです。

 巨大なポジションが、ニュースや投機的仕掛けで動意付くと、それ相応に大きな値動きになることがあります。その相場を補強するニュースが偶然続くだけでも、「相場は自らを正当化する」プロセスに入り、トレンドを形成することがあります。