※本記事は2010年12月17日に公開したものです。

 あるライターの方(マネー運用がご専門ではない)と話をしていたら、架空のケースなのだが、次のようなケースについてどう考えるべきか、教えてほしいと質問された。

ライターさんの質問

 ある投資家が10銘柄の株式に投資している。10銘柄のうち、4銘柄の値動きが悪いので、彼は、これらを売却して、その資金を、残りの6銘柄のうち、値動きのいい銘柄2つに追加投資しようとしている。彼の判断は正しいか?

 答えを考えてみるうちに、彼の質問の中には、素人投資家が陥りやすい誤りが満載されていることに気づいた。

 一般論として、素人は下手で、プロは上手(うま)いと、運用成績面で言えるわけではない。しかし、素人投資家の一定割合には、「いかにも素人的」で明らかに不合理、または、非合理的である可能性が大きな、共通の投資の癖があるように思われる。

 なお後述するが、プロ投資家もしばしば共通の欠点を持つことがある。決して、プロとの対比で素人投資家を批判したいという意図からこの文章を書こうとするものではない。

 答えを考えるためには、質問の状況をもう少し具体的に想定する必要がある。

 まず、当初の10銘柄への投資は大まかに等金額で行われたことにしておこう。投資対象はすべて国内株だとしておく。加えて、「値動きが悪い」とは買値よりも値下がりしていること、「値動きがいい」とは相対的な値上がり率が高いことだとしておこう。

 このケースとぴったり同じ投資家はいないかもしれないが、似た投資家は何人もイメージできるのではないだろうか。

「それは、拙(つたな)いかもしれないよ」という可能性まで含めて、この質問のような投資家がいた場合にどんな指摘とアドバイスができるだろうか。いくつのツッコミどころがあるか、考えてみてほしい。