老後2,000万円問題や財政検証については、これまでにもトウシルから複数の記事がリリースされています。改めて、年金制度の基本を確認するとともに、財政検証の前提や今後の課題について考察します。

年金の基本を確認してみよう。「防貧」のための制度

 老後の生活には年金だけでは2,000万円が不足すると取り沙汰されたことで、年金制度が注目を集めました。望ましい年金制度は、「高齢者への給付を十分に行う」ことと、「(給付の多寡はともかく)年金制度を維持する」という2つの目標がありますが、両方を同時に満たすことは簡単ではありません。

 年金給付を手厚くするには現役世代の負担を増やす必要がありますが、現役世代の生活を圧迫するほど負担が重くなると、年金制度への不満が高まり、制度が維持できなくなります。

 逆に、年金制度を維持するために支給額を減らし過ぎると、高齢者が貧困に陥らないよう予防的に備えるという「防貧制度」としての年金の意義が薄れます。

 日本の年金制度を簡単にまとめると、現役世代の負担に上限を設けることで制度を持続させ、防貧の目安として所得代替率50%以上の給付を維持することを目標にしていると言えます。

 年金財政の収支を改善するには、保険料の収入を増やすか、支出を減らすために、年金支給額を減らす、あるいは、年金支給開始年齢を遅らせることになります。

「積立方式」の場合も基本的な構造は変わらず、現役時代に自由に使えるお金を減らして多く積み立てて年金の原資を増やすか、高齢になってから毎月の取り崩す額を減らすか、あるいは、取り崩し始める時期を遅くすることで年金が枯渇しないよう節約することになります。

 積立方式は一見、自己責任で納得できそうですが、将来のインフレリスクや長生きリスクを見越して必要額を積み立てることは難しいので、将来の経済状況に応じて、そのときの現役世代にお世話になる「賦課方式」の方が安心できます。