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『法人企業統計』は、企業活動の実態を把握する目的で実施されている統計調査で、財務省から3カ月に1度発表されます。2019年4-6月期の『法人企業統計』によると、全産業(金融・保険業除く)の設備投資は前年同期比+1.9%と、11四半期連続のプラスでしたが、米中貿易摩擦の激化の影響で製造業が2017年4-6月期以来のマイナスとなり、減速が目立ちました。

 

【ポイント1】設備投資は前年同期比+1.9%

GDPの基礎統計となる「ソフトウエア除く全産業」は前期比▲1.6%

 9月2日に発表された2019年4-6月期の『法人企業統計』によると、全産業(金融・保険業除く)の設備投資は、前年同期比+1.9%と11四半期連続のプラスとなりました。ただし、内訳をみると、非製造業は同+7.0%と堅調を維持したものの、製造業が同▲6.9%と、2017年4-6月期以来のマイナスとなりました。米中貿易摩擦の激化により情報通信機械が同▲43.4%と落ち込みが目立つなど、製造業は投資に慎重になってきたとみられます。

 GDP改定値を算出する基礎となり、注目度の高い「ソフトウエア除く全産業」の設備投資の季節調整後の前期比は▲1.6%と、1-3月期の同+1.0%からマイナスに転じました。

 

【ポイント2】売上高は横ばい

経常利益は大きく減少

 全産業(金融・保険業除く)の売上高は前年同期比+0.4%と、前期(1-3月期)の同+3.0%から鈍化したものの、増収を維持しました。内訳は、製造業が同▲1.2%と前期の+同1.1%から減少に転じる一方、非製造業は同+1.0%と前期の同+3.7%から減速しました。

 経常利益は同▲12.0%と、前期の同+10.3%から2四半期ぶりに減益に転じました。内訳をみると、製造業が同▲27.9%と前期の同▲6.3%から減益率が大幅に拡大しました。非製造業も同▲1.5%と、前期の同+18.4%から減益に転じました。

 

【今後の展開】GDP改定値は下方修正されよう

『法人企業統計』の設備投資(ソフトウエア除く全産業)は、4-6月期のGDP速報値の設備投資を下回りました。この結果を受け、9月9日公表のGDP改定値では、設備投資が下方修正される公算が大きいと考えられます。民間在庫投資はほぼ変わらないと見込まれるため、GDP改定値は1次速報の前期比年率+1.8%から同+1.0%程度へ下方修正されるとみられます。