際限ない米中報復の応酬、さらに泥沼に

 トランプ米政権は9月1日、中国からの輸入品1,200億ドル(約12.7兆円)に新たに15%の関税を上乗せする対中制裁「第4弾」を発動。中国も報復として、米国からの輸入品750億ドル(約8兆円)の33%を占める1,717品目に5~10%の関税を上乗せしました。

 トランプ大統領は8月に入り、中国からの輸入品で、まだ制裁関税をかけていなかった3,000億ドルすべてに関税をかける制裁「第4弾」を9月1日に発動すると表明していました。ただし、産業界などとの話し合いを経て、発動は2回に分けると修正していました。

 9月1日に1,200億ドル相当に制裁関税をかけ、残りを12月15日に発動するとしています。制裁関税「第4弾」には、これまで制裁関税をかけることを避けてきた消費財がたくさん含まれます。消費財への制裁関税は、米国の消費・景気、さらにトランプ大統領の支持率にも悪影響を及ぼす可能性があるので、これまで避けてきたところです。そこまで踏み込まなければならない程、泥沼の対立となってきています。

 第4弾の発動を、9月1日と12月15日の2回に分けるのは、米クリスマス商戦への悪影響を避けるためと考えられます。1日の発動分は、中国からの輸入シェアが75%未満の輸入品が対象で、玩具や衣類、スポーツ・レジャー用品に加え、スマートウォッチやテレビ関連機器などの電化製品も対象となります。ただし、中国で生産、米国に輸出されている米アップル社のiPhone(アイフォン)は、9月1日の発動からは除外されました。

 これに合わせ、中国も報復関税の発動を、9月1日と12月15日に分けました。1日の発動では、既に25%の追加関税がかかっている大豆の関税を30%に引き上げました。また、冷凍豚肉の関税は25%から35%に引き上げました。