9月の株主優待銘柄

 権利確定日が9月末の銘柄は、9月26日(木)が権利付き最終日、翌27日(金)が権利落ち日になります。9月26日(木)に株を保有していることが、土日を挟んだ権利確定日の9月30日(月)に優待権利を獲得できる条件です。

 9月は、日本の企業の大多数が採用する3月期決算の中間期。優待株の総数も416銘柄※1と、3月末の806銘柄※2に次いで多い優待月!人気優待株の上位には、年率で5%前後の株主配当ももらえる好配当優待株や、人気の高い航空券割引優待、家電量販店や回転寿司チェーンの買物、飲食優待がランクインしています。※1、2 楽天証券「株主優待検索」より

 最も優待株が多い3月優待でも1位で、9月優待でも人気No.1に輝いたのは日産自動車。優待内容は、株主が紹介した人が同社の新車を購入すると、株主に5,000円のギフトカード、新車購入者には各5,000円相当のカタログギフトが送られます。ただ、優待内容よりも、年率5%を超える好配当が人気の理由のようです。

 ただし、カルロス・ゴーン前会長の逮捕で揺れる同社は業績不振の影響で、株価が今年2月の高値969円から662円台まで急落(8月14日現在)。前期の最終利益が前々期比57%減と大幅に落ち込んだこともあり、今期の株主配当は17円減配の1株あたり40円まで引き下げられています。

 最近の優待株投資では、優待内容だけでなく、配当利回りも強く意識されるようになっています。日産自動車はその典型例。とはいえ、業績悪化が続くと株主配当が減額される「減配」のリスクが高まり、もらえる配当金や優待の現金価値以上に株価が大きく下落してしまう可能性があるので注意が必要です。

 人気第2位も配当利回り4.8%前後の好配当株として知られるオリックスです。同社の9月末優待は、ホテル、レンタカーなどオリックスグループが提供するサービスの割引が受けられる「株主カード」優待だけ。3月末株主に贈られるカタログギフト優待は今回はありません。

 オリックスも直近の2019年度第一四半期は減収減益になりましたが、9月末株主に支払われる中間期配当は5円増配の35円を予定。株主還元の手厚さや業績、株価の底堅さが人気の理由といえるでしょう。

 第3位はヤマダ電機の買物券優待です。100株保有で3月末に1,000円分、9月末に2,000円分のお買物優待券があります。さらに、1年以上の長期保有の場合、9月末では500円分、3月末では1,500円分(2年以上だと2,000円分)の買物券の増額があります。

 人気の定番優待である、航空会社による国内線運賃割引優待。第4位のANAホールディングスの優待では、100株、約36万円の投資で、3月末と9月末の年2回、国内線の航空運賃が割引になる「株主優待番号ご案内書」が各1枚送られてきます。
 その枚数は400株までは100株ごとに各1枚増え、400株で4枚(年間8枚)。400株以降は200株ごとに各1枚増えて600株で年間10枚、1,000株で年間14枚に達します。そのほか、グループ各社・提携ホテル10%以上割引、国内・海外パッケージツアー7%割引だけでなく、9月末株主には翌年のカレンダーも送られます。

 ちなみに、日本航空(8位)の9月優待は、200株保有で国内線50%割引の「株主割引券」の1枚とJALパックツアー7%割引券が手に入ります。

 第5位は東海地方中心に飲食チェーンを展開するコロワイドグループ傘下のアトムです。その優待内容は、100株、約10万円弱の資金で3月末、9月末株主に各2,000円相当の優待ポイントが付与されるというもの。優待ポイントはアトムが経営する「ステーキ宮」「にぎりの徳兵衛」などのほか、「北海道」「甘太郎」など全国各地のコロワイドグループの店舗でも相互利用できる使い勝手のよさが魅力です。

 第10位には同じコロワイドグループのカッパ・クリエイトがランクイン。こちらは100株、約14万円台の投資で、3月末、9月末の年2回、各3,000円相当の優待ポイントを獲得でき、アトムと同じく、コロワイドグループの店舗でも相互利用が可能です。

 親会社のコロワイドは3月末、9月末株主に年間4万円相当という高額優待ポイントを贈呈してくれますが、優待獲得条件は500株以上の保有、100万円以上の投資資金と、資金面のハードルが高くなります。そう考えると、コロワイドの店舗で利用するために、より少額資金で相互利用可能な優待ポイントを獲得できるアトムやカッパ・クリエイトの株を買うといった「裏ワザ」的な手法も考えられます。