今後、投資してみたい金融商品・今後、投資してみたい国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」と回答したお客様の割合に注目します。

 当該設問は複数回答可で、選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、金先物取引、原油先物取引、その他の商品先物、特になしの13個です。

 文末の表でも示しているとおり、「国内株式」と「外国株式」は、13個の中でも選択する人の割合が高い選択肢です。7月の調査では、「国内株式」を選択した人の割合は13個中1位(50.3%)、「外国株式」を選択した人の割合は2位(42.1%)でした。

 以下のグラフは、設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」を選択した人の割合の推移を示しています。

図:設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」を選択した人の割合 (2009年1月~2019年7月)

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2018年後半まで、「国内株式」と回答した人の割合は低くても60%、「外国株式」と回答した人の割合は高くても35%、という傾向がありましたが、現在はそれを超えた動きになっています。先述の通り、2019年7月時点で「国内株式」は50.3%、「外国株式」は42.1%です。

 2016年に起きた2つの出来事(同年6月の英国のEU離脱の是非を問う国民投票、および11月の米大統領選挙)を機に、「国内株式」は低下、「外国株式」は上昇する傾向が鮮明になりました。

「国内株式」は、英国の国民投票の選挙の結果に不安を抱く人が増え、投資を手控えるムードが強まったことで大きく低下。さらに、日本にはない強いリーダーシップを発揮するトランプ氏が大統領になり、同大統領の減税策、利下げ圧力策などで米国の株価が徐々に上昇したため、お客様の投資志向が「国内株式」から「外国株式」にシフトしたと考えられます。

 一方、日本は強いリーダーの不在、米国ほど強い景気対策を打ち出せない状況にあるため、その日本の企業の株である「国内株式」に注目する人の割合が徐々に低下したと考えられます。

 足元、米中貿易戦争が激化の一途をたどっているため、以前ほど米国株式の上昇傾向は鮮明ではなくなったものの、状況が落ち着き、利下げなどを背景に再び上昇基調となり「国内株式」から「外国株式」へのシフトが進めば、近い将来「国内株式」・「外国株式」を回答した人の割合が逆転する可能性があると筆者は考えています。

 引き続き、設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」・「外国株式」と回答した人の割合に注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2019年7月調査時点 (複数回答可)
※2018年12月より一部、選択肢を変更しています。

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2019年7月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

執筆者の連載

●シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之 「テクニカル風林火山

●FXディーリング部 荒地 潤 「毎ヨミ!為替Walker

●コモディティアナリスト 吉田 哲 「週刊コモディティマーケット